JR九州ドラッグイレブン、ツルハ傘下で成長目指す
JR九州は30日、ドラッグストア子会社のJR九州ドラッグイレブン(福岡県大野城市)の株式の過半を、業界大手のツルハホールディングス(HD)に売却すると発表した。ドラッグイレブンは5月28日付でツルハHDの連結子会社になる。ドラッグストア業界の競争が激化するなか、単独での生き残りは難しいと判断。業界大手の傘下で成長を目指すことにした。
ドラッグイレブンの2019年2月期の売上高は519億円、純利益は6億円。九州を中心に228店(20年2月末時点)を展開する。株式の売却額は公表しなかった。ドラッグイレブンの屋号は継続し、従業員も引き続き雇用する。新しい社長は未定だが、ツルハHDとJR九州から役員を派遣する。
ドラッグイレブンは1989年の創業で、JR九州が小売業の拡大を狙って07年に買収した。JRの駅周辺などで出店を進め、現在は九州7県や沖縄県、山口県、都内で店舗展開してきた。
ただドラッグストア業界は大手主導の再編が進んでいる。九州ではコスモス薬品や「ドラッグストアモリ」を運営するナチュラルホールディングス(福岡県朝倉市)など大手との競争も激化していた。30日にオンラインで記者会見したJR九州の森亨弘取締役は「競争が激化するなか、高い運営ノウハウを持つツルハHDとの連携を決めた」と話した。
北海道を本拠地とするツルハは九州では福岡市を中心に約20店出店しているが、九州・沖縄地区の開拓は手薄だった。堀川政司社長は「全国出店を目指すなか、今回の買収で新たに6県に初進出できる」と強調した。今後、仕入れの統合などによるコスト削減や、プライベートブランド(PB)商品の販売強化に着手する。堀川社長は「地域によって販促方法を変えるなどし、九州でも拡大を目指す」と意気込みを語った。