他のデザイナーとの差別化に役立つ「USP」の考え方

Addison Duvall

Addisonは食べ物やデザイン、アート、カルチャーの融合を模索するブログ、Food Identitiesの著者です。

この記事はSpeckyboy Design Magazineからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

As a Designer, What Is Your Unique Selling Point?

まず初めに1つ質問させてください。生活の中で使う歯磨き粉、デオドラントやシャンプー、または自動車のオイルに好んで選ぶブランドはそれぞれいくつありますか? それらのブランドのうち、特定のブランドが他と異なっていたり優れていると考えたことはありませんか? 何度も繰り返し購入したくなるような「お気に入りの」ブランドが、魅力的に見える理由は何でしょうか? 答えはそのようなブランドが持つ「USP」にあるかもしれません。

USPは、ユニークセールスポイント(Unique Selling Point)のことで、特定の広告キャンペーンが成功する一方、なぜ他のものは失敗するのかといった理由を説明するために1940年代に開発されたマーケティングコンセプトです。

成功したブランドのキャンペーンは、現在ターゲットの顧客が使用しているブランドより優れていることをアピールし、納得させられるような独自のセールスポイントや提案があります。

近年ではUSPとは単純に類似プロダクトや他サービスとは異なった、そのプロダクトやサービス特有の部分を指します。

デザイナーは、自分自身を売り込むときにもUSPの力を活用できます。クリエイティブな専門家ほど皆、残念ながら自分たちの仕事のプロモーションが苦手なものです。しかしUSPを活用すれば、自身のプロモーションがはるかに楽になります。それではUSPを活用してどのように自身をプロモーションしていくのか見てみましょう。

アピールポイントの創造

プロダクトのUSPを決定するとき、まずはじめにマーケターは潜在的な消費者市場に向けたユニークな提案を考え出す必要があります。マーケターは、消費者がプロダクトを使用することで得られるメリットを、明確に彼らに提示しなければなりません。

たとえば、あるブランドのマスカラでは「より長く、より濃いまつげが手に入る」というメリットがアピールされるかもしれません。また、iPhone 6 plusでは「いまだかつてない素晴らしいiPhone」であることをAppleがアピールしています。

これらの主張が効果を発揮するためには、マーケターは典型的な消費者に忠実であるか、少なくとも忠実であろうと努力する必要があります。USPは単なる誇張や無意味な広告ではありません。プロダクトを使用することでユーザーが体験できる、実際に存在する直接的なメリットを表したものなのです。

顧客に正直であれ

ここで、AppleがiPhone 6 plusのことを「いまだかつてない素晴らしい電話」として宣伝してはいないことに注目してください。その判断は主観的で、定量化することは不可能です。しかし、対象をiPhoneの市場に限定することで、これまでのiPhoneシリーズの中でもっとも驚くべきバージョンであると自信を持って伝えることはできます。

もちろんこれらのUSPの主張は、そのプロダクトだけではなく競合ブランドの似たようなプロダクトについても当てはまる可能性があります。たとえば、マクドナルドとバーガーキングのハンバーガーパテは、正確にはどのように異なるのでしょうか? 大きな差がないのであれば、あとはどちらかがUSPとして主張するかしないかだけの話です。

あなたがデザイナーなら、まったく同じ価値を提供する他の人と一緒に巨大なプールの中で泳いでいるようなものです。クライアントに自分を推薦するとき、その人々と自分とを差別化できるUSPを選択することが重要です。あなたと一緒に仕事をすることで、クライアントは具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか?

競合に欠けているものは何か

デザイナーとして主張するUSPは、競合が提供することができないか、あるいは提供していないものでなければなりません。たとえばあなたが大学で心理学を勉強したなら、「心理学デザイナー」として自分を位置づけることができるでしょう(より良い名前があるかもしれませんがそれは置いておいてください)。

クライアントにとってあなたは、強固な心理学のバックグラウンドを駆使しユーザーの心により届くデザインをするデザイナーとして知られるでしょう。クライアントは間違いなく、そのユニークな点を記憶します。ほとんどのデザイナーは、その面であなたと競うことはできません。それこそがあなたのUSPです。

もちろん、心理学の代わりにほとんどのデザイナーが持っていない別の専門領域の知識を売り出すこともできるでしょう。私はデザインやライティングの仕事相手となるクライアントに興味を持ってもらうためのUSPとして、料理業界での専門的なバックグラウンドを売り出しています。クライアントが私を覚えるのに役立ちますし、彼らとの仕事でユニークな視点を提供し、特別な価値を発揮することができます。

これこそがUSPによって得るべき効果です。たとえ学校で特別な知識を学んだことがなく、ほかの業界で働いたことがなかったとしても、パーソナルブランドにユニークな利点を添えられるような趣味や興味、情熱を見つけられるでしょう。車は好きですか? ファッションは? クラフトビールは? ターゲティングしたクライアントの興味を引くために、どのようにそれらをUSPとして駆使できるでしょうか。

デザイン業界の他の人が普通示さないような側面を売り出せば、将来のクライアントの好奇心を掻き立てて、彼らの目を引くことができるでしょう。もちろん、あなたの個人的な興味や趣味をキャリアに取り入れるための正しい方法と誤った方法とがあります。ほとんどの人が間違った方法をとってしまうので、ここではこれから正しい方法を紹介していきます。

クライアントにあなたを「獲得」させる

マーケターがプロダクトのUSPを開発する際には、既存の消費者だけでなく、新しい消費者に対しても機能するほど説得力のあるものを作成する必要があります。新しいビジネスを「惹きよせる」力を持っていなければならないのです。

デザイナー個人としてのUSPも、プロダクトの場合と同じように、既存のクライアントだけではなく新しいクライアントに対しても機能するようなものでなければなりません。どのようなフリーランサーにとっても、着実に新しい仕事を受け続けるために重要なことです。

また将来のクライアントに興味を持ってもらうには、彼らがUSPに価値を見出し、そのためには具体的に彼らが欲し、必要とする何かを提供する必要があります。

この点で多くの人々は間違いを犯してしまいます。自分の個人的な関心ごとがクライアントにとっても、自分と同じように魅力的で効果的だと推測してしまうのです。

もし得意先が法律業界のクライアントだとしたら、あなたがバスケット織りや美術品、猫の手入れに情熱を注いでいても、彼らにとってメリットにはならないでしょう。しかし、社会学や哲学、チェスに対する個人的な関心がありそれらを適切な方法で提示していれば、興味を惹くことができるはずです。あなたの趣味を実践的なスキルとして提供することを考えてください。

先程紹介したチェスの例を読んでいる間、あなたは「法律の専門家に寄り添うとき、チェスの趣味がどのように役立つのか」と混乱して首をかしげていたかもしれません。

チェスは批判的思考のスキルを構築する戦略ゲームです。このことを魅力的に提示している限り、クライアントが仕事で馴染みのある思考法と同じ道筋で考えることができるデザイナーとして位置づけられることができるでしょう。

そのような批判的思考のスキルを持つことで、単に「クリエイティブ」で規範を重んじないような、風変りなデザイナーのイメージを減らすことができるでしょう。その結果、あまりクリエイティブ畑ではない人と共に仕事をし、デザイナー以外の人が作るプロダクトにあなたのクリエイティビティを注ぎ込むことができるでしょう。

まとめ

適切に用いれば、USPはフリーランサーにとって強力なツールになります。ユニークなスキルや興味、情熱を駆使して競合からあなたを際立たせることで、クライアントを獲得することができるでしょう。


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