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ガラスのない美術館【 半・分解展 】を主宰。 Xでは18世紀〜20世紀初頭の個人コレクションを詳しく紹介します。 仕事依頼はリンクから↓
1870年フランス 馬車の運転手が着た「コーチマンズ・オーバーコート」を紹介します 未使用の状態で150年間眠っていたものを買い取りました 私はこれまで「男性使用人」のさまざまな衣服を紹介してきました 花形使用人であるフットマンと比べながら、その差異を見ていきましょう pic.twitter.com/HxXuUUxzuc
2021-09-26 12:14:41雨風に晒される御者(コーチマン)は使用人のなかでも重労働の仕事でした 彼らは馬の管理も任されており、他の使用人と違って馬小屋に寝室がありました また昇進を期待できるポジションでもありません そんなコーチマンの身体を守るコートは、驚くべき生地と製法で仕立てられています pic.twitter.com/i3iskjUQRW
2021-09-26 12:21:01写真では絶対に伝わらないのが心苦しいです 私がこれまで触れてきた生地とは明らかに一線画す手触りです まるで、古びたダムのコンクリートに触れているような無機質で圧倒的な質量が、指先から伝わってくるのです 重さも半端じゃありません 抱きかかえるように持たないと支えられない重量です pic.twitter.com/B8pQoHTjfb
2021-09-26 12:30:12同じ使用人でもこの違い
フットマンの派手なコートと比べれば、同じ使用人でも求められるものが如何に異なるか一目瞭然です 装飾は一切なく、ただ背景に徹し、馬を操る 上司にあたるフットマンと共に黙々と主に仕えました 雨風から身を守るために、コーチマンの服だけには「裏地」に大きな特徴がありました pic.twitter.com/djZhkFT5Yj
2021-09-26 12:36:55裏地には「ウールのボア」が縫い付けられています コンクリートのようなメルトンウールの表地では雨をはじくことは出来ても、寒さから身を守ることができなかったのでしょう 腰から膝下、そして背中全面をボアで覆い尽くし防寒性を高めています pic.twitter.com/U8PzH7Gfo1
2021-09-26 12:41:42衿の仕立てに、心から感動しました 技術者は生で見てください 大量生産社会では想像すらつかない仕立てです この重厚な生地を、いかに人体で最も丸みを帯びている「首」に沿わすか と同時に、衿をロールさせて身頃に馴染ませる技術、耐久性を考えた細部の始末 これは、最も激しい静寂です pic.twitter.com/R0Uf2EvsJz
2021-09-26 12:47:35裏地には増し芯を留める芯押さえステッチが確認でき、アームホールにはゆとりを解放するクンニョが2つあります 袖口のステッチワークも秀逸で、当時の製図書を読んでみるとコーチマンズコートには連続するステッチ規則が示されています では、19世紀の本にどのように書かれていたか紹介します pic.twitter.com/hQc0Jiiz94
2021-09-26 12:53:011890年イギリス「使用人の案内書」には、現代にも通じる悲しい現実が書かれています ”自動車の急速な普及により、コーチマンズはシーファー(お抱え運転手)に代替えされる コーチマンズコートは仕立てるよりも既製品で良い、シーファーの短い上着(3枚目)を仕立てましょう” 時代は繰り返します pic.twitter.com/jr9qyJQwzb
2021-09-26 13:01:50馬車は1910年ごろまでは生き延びます 鉄道も充分に発達した時代に、馬車文化を盛り上げた「女性コーチマンズ」がいました 自由な働き方をする女性たちの姿は、当時のマスコミの恰好の的となり多くの写真が残されています むしろ目立たなかった男性コーチマンより写真が見つかります pic.twitter.com/7sTwQvaOtn
2021-09-26 13:12:42めちゃくちゃ勉強になる。服の向こうから当時の人の生活の息吹が伝わってくる。 twitter.com/rrr00129/statu…
2021-09-26 12:44:56先日、ご縁があって着せて頂いた1870年フランス デッドストックの馭者のコート。両手で抱えなければならないほど重いこのコートを着た感想は「鎧」。屈強な人が雨風の中馬車を走らせ、乗客の重い荷物を積み下ろす。それに耐える服。そんなイメージでした。 twitter.com/rrr00129/statu… pic.twitter.com/0fCWLyBE3f
2021-09-26 13:46:09重労働と専門的な技術を強いられるのに、決して日の目は当たることなく車に取って代わられていった悲しい役どころなのだなぁ…>RT
2021-09-26 13:14:21衣服研究というジャンル。映画の中の背景の一つをクローズアップしてみると驚きの世界が。このコートを作った仕立て屋さん、150年後に遠い国でこんな風に感動されていることを知ったらうれしいだろう。 twitter.com/rrr00129/statu…
2021-09-26 14:06:58実際に触れてみたいという方はこちらへぜひ↓
【半・分解展】では、貴族・使用人・軍人・労働者それぞれの文化を「衣服」を介して体験できます 実際に触れて袖を通すことで、より鮮明に当時の人々の生き様が感じとれるでしょう 半・分解展 大阪展(10.24~11.1)にぜひお越しください ↓ sites.google.com/view/demi-deco…
2021-09-26 13:18:45関連まとめ