断面マニアの皆さん、お待たせしました
まずはこの↑サンドイッチの美しい断面からご覧ください。
この食欲をそそる断面を日々作り続けているのがこの人、「Sandwich&Co.(サンドイッチ&コー)」の鈴木沙織さんです。
前職はエンジニアなんです
──こちらはサンドイッチ専門店ということですが、レパートリーはどれくらいあるんですか?
鈴木:100種類くらいですかね。レギュラーメニューの他に、週に一度週替わりのサンドイッチが登場するので。
イラスト:逸見チエコ
──ここのお店、私もちょくちょく買いに来ますけど、11時に開店したと思ったらお昼過ぎにはショーケースが空になってることもありますよね。
鈴木:そうなんです。ありがたいことです。
▲きゅうりの元気玉と生ハムサンド(594円)
シャキシャキしたきゅうりをたっぷりはさんだ定番メニュー。きゅうりと生ハムの塩気の組み合わせがクセになる。
▲BTMサンド/豚・卵サラダ・紫たまねぎのマリネ(594円)
さっぱりとこってりのバランスの良さがたまらない。
▲ハニーポークジンジャーサンド(週替わりサンド 648円)
ハニーポークがあんまりにもまろやかなので、噛まずに飲めてしまいそう。生姜がいい仕事をしてくれてます。
▲ローストポークとまいたけのジューシーサンド(648円)
安比まいたけが肉厚ジューシーできのこであることを忘れそうに。自家製塩麹を使ったローストポークもやわらかジューシー。
▲塩レモンチキンとアボカドサンド(648円)
サンドイッチ&コーの定番商品。自家製塩麹で仕上げたほどよいレモン風味のチキンにたっぷりアボカドが奇跡のように合うんです。
──サンドイッチはいつから作ってたんですか?
鈴木:前は会社員をしてて、毎日サンドイッチを作ってお弁当に持っていっていました。2~3年間くらいですかね。帰宅後は次の日に持っていくサンドイッチの研究と下ごしらえを欠かさず、作ったサンドイッチの断面は記念に毎日インスタグラムにアップしていました。
──ちなみに当時の職種は?
鈴木:エンジニアだったんです。今とぜんぜん違いますね(笑)。でも会社が有機野菜を扱っていたので、いい野菜が手に入りやすかったのもサンドイッチにハマったきっかけですね。エンジニアもそうですが、ひとつの対象にじっくり向き合って作業をすることが得意なのかもしれません。
気付けばフォロワー1万人超え
鈴木:そうこうしているうちに、気がついたらインスタグラムのフォロワーが1万人超えてて。
──お弁当のインスタに1万人ですか! 断面効果ですね。
鈴木:はい。レパートリーも増えてきたし、ほかの人にも私のサンドイッチを味わってほしくなって。縁あって弦巻にサンドイッチの専門店を開くことになったんです。2017年の10月に開店しました。インスタのフォロワーさんや、お店のデザインをしてくれた弟、そして応援してくれた皆への感謝を込めて、「Sandwich&Co.」(※「co.」は「仲間たち」の意味)という名前にしました。
「ガッツリ」と「ヘルシー」が共存したサンドイッチ
──週代わりサンドも含めて、毎日何種類作ってるんですか?
鈴木:普通サイズが7種類、キッズサイズが4種類(うちスイーツ系2種類)の計11種類です。
イラスト:逸見チエコ
──「普通サイズ」でけっこうなボリュームですよね。
鈴木:そうなんです。見た目も迫力あるけど、食べごたえもバッチリあるんです。男性のおひとり様、かなり多いです。
──チャーシューと煮卵のネギラー油サンドなんて、言わば「手で食べられるラーメン」ですよね。
▲チャーシューと煮卵のネギラー油サンド(648円)
まさに「はさんで食べるラーメン」。食べごたえありますが、満腹で動けなくなったりしないのでご安心を。食後はさわやかな満腹感に包まれます。
鈴木:よく出るメニューのひとつです。サンドイッチに使うチャーシューやローストポークなどは、オリジナルレシピで手作りしています。ちなみに白砂糖はあまり使いません。化学調味料も使いません。
チャーシューは甘酒で煮ています。ローストポークは麹から発酵させて作った塩麹を使用しています。塩レモンチキンも自家製です。
▲グリルチキンとピクルスのカラフルサンド(648円)
このグリルチキンの厚み。しっかり「肉を食べてる」感が味わえます。
── いかにもガッツリ系な断面なのに、ヘルシーなんですね。
鈴木:はい。材料にはこだわりがあります。うちのサンドイッチは、毎日食べるとどんどん健康になってしまうかもしれません(笑)。このサンドイッチもチーズクリームだとちょっと重いなと思って、豆腐を使った「トーフチーズクリーム」を作ってはさんでみたら、ほかの具とも相性がいいし、お客さんにも好評だったんです。
──これ、豆腐で作ったクリームなんですね。驚き。あと、この葉っぱがおいしいんですけど何ていうんですか?
鈴木:葉物野菜は「グリーンカール」を使っています。水分量などをいろいろ研究した結果、これがサンドイッチにはいちばん合うんです。野菜は信頼できる同じ世田谷区の八百屋さんに配達してもらっています。
たとえばこのまいたけは「安比まいたけ」といって通常のものよりも肉厚でぷりぷりしてて食べごたえがあるんです。あと、このセットのスープは、サンドイッチを作るときに余った野菜で出汁(ベジタブルブロスという)をとって作るんです。
──どれどれ……お、おいしい。これ、本当に野菜の出汁だけですか?
鈴木:そうですよ。スープの素とかは一切使ってないのにこのうまみが出るんです。自然な甘みと苦味がほどよくマッチしてすごくおいしいと評判です。テイクアウトもできますよ。うちは材料を使い切ってほとんど捨てないので環境にも優しいサンドイッチ専門店なんです。
▲ベジポタスープとサンドイッチのセット(1,080円)
普通は捨ててしまう野菜の皮や葉部分を使って作るベジタブルブロスには、栄養分がぎゅっとつまっているのです。そのベジタブルブロスを使用したスープをセットに。写真はにんじんスープ。ほかにビーツやさつまいもなど。
──すごい。体にも優しいし。安心してドカ食いしたいと思います。
「サンドイッチに合うコーヒー」を淹れてくれる人
──ところで、表の看板の「Okei coffee(オケイ・コーヒー)」って何ですか?
鈴木:ああ、オケイさーん。
オケイ:はーい。「Sandwich&Co.」でバリスタをしているオケイと申します。
──バリスタさんなんですね。おふたりはもともと友人とかですか?
オケイ:違うんですよー。鈴木さんがインスタでバリスタを募集してるのを見て、応募したのがきっかけなんです。
──インスタグラムでですか。時代ですねえ。
鈴木:「サンドイッチに合うコーヒー」を淹れてくれる人を探してて。考え方に共通点が多かったので、オケイさんにお願いしました。おかげでコーヒーゼリーやアフォガードなどのデザートメニューも充実しました。
▲カフェラテ(518円)
竹串を使わずに注ぎながら模様を作る。豆はオケイさんイチオシの金沢のお店から。まろやかで優しい苦味がサンドイッチにマッチ。
▲コーヒーゼリー(594円)
苦味が少なく食べやすい味。テイクアウトも可。
──サンドイッチを彩る仲間たちがこうして増えていくのですね。楽しみが増えました。これからも断面萌えするサンドイッチを作り続けてください。
鈴木:はい。インスタにコメントをいただければお取り置きもできますので、ぜひご利用ください。これからの季節、アウトドアにもおすすめです。それと、可愛らしい店構えなので男性には入りにくいように感じるかもしれませんが、一歩足を踏み入れれば店内にはガッツリ系の断面が並んでます(笑)。ぜひ気軽に来店してくださると嬉しいです。
筆者はここの近所に住んでますが、週に一度は買いに行ってるくらい大ファンです。味はもちろん、満腹になるまで食べてももたれないのがいいところ。
四十代後半の働く体にはありがたいサンドイッチなのです。これからも食べ続けますのでよろしく!
お店情報
Sandwich&Co.
住所:東京都世田谷区弦巻5-6-16-103 ※この記事は2019年の情報です。メニュー等に変更がある可能性があります。