激シブなのは百も承知だが「焼き味噌」を激オシせずにはいられない

ちょっと気の利いた蕎麦屋さんや、いい日本酒を置いているような居酒屋さんなどで出てくる「焼き味噌」。しゃもじにのせて作ると雰囲気も出ますし、キンと冷えた日本酒のおつまみにこれをチビチビやると、それこそ極楽なのではないでしょうか。

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蕎麦前で一品だけ選ぶとしたら

自分が「大人になった」と感じる瞬間はありませんか? 

私は回らない寿司屋のカウンターに一人で座った時、そんなことを思ったりします。

 

もうひとつは休日の昼、蕎麦屋でキンと冷やした日本酒(常温もおいしい)でチビリチビリやりながら……蕎麦が供されるのをゆるりと待つ瞬間。

いわゆる「蕎麦前」の時間を楽しめるようになった時でしょうか。

 

こんにちは、メシ通ライターの飯炊屋カゲゾウです。そんな蕎麦前のひと時、お品書きにあると必ず頼んでしまうのが「焼き味噌」です。

 

もちろん、蕎麦がきや板わさ、出汁巻き卵などもおいしいのですが、焼き味噌は塩味がほどよくて日本酒と合い、かつ値段もリーズナブル。

 

蕎麦前のメニューでどれかひとつしか選べないとしたら迷わず「焼き味噌!」とオーダーします。

 

家で焼き味噌を作るときの「たったひとつのコツ」

というわけで「家族と懐のために『家めし、家BAR、家居酒屋』」を自認しているカゲゾウとしては、焼き味噌を時々家で再現し、一杯やってます。

 

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さて、もったいぶるのは性に合わないので、最初に結論をいいます。焼き味噌は「西京味噌(白味噌)」で作ってください! 

 

ぶっちゃけ、西京味噌をただ焼いただけでそれはもう立派な焼き味噌です。

 

焼き味噌(超簡易バージョン)

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【材料】(1人前)

  • 西京味噌 適量

 

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アルミ箔などに西京味噌を塗り広げます。

 

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オーブントースターや魚焼きグリルで適当な焦げがつくまで焼けば……

完成です! 

 

日本酒に合うことこの上なし、盃がグイグイ進むこと間違いなしです。

それでは次回の記事でお会いしましょう!

コホン、冗談です。ここからが本番です。

 

焼き味噌と日本酒の組み合わせをはじめて蕎麦屋で試したとき、「ああ、これは旨いな!」といたく感動したのを憶えています。

 

翌日もその感動を味わいたくて家で焼き味噌を再現しました。

が、第一声は「ぐはっ、しょっペっ!」でした。

 

西京味噌の特徴とは?

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ウチでの普段使いは信州味噌(画像左)です。いわゆる茶色いタイプのお味噌ですね。はじめて再現にトライしたときはこの味噌を使っていたわけです。

 

味噌汁にしたり、おにぎりに塗ったり、厚揚げに挟んだりと調味料として使う分にはいいんですけど、加熱すると水分も飛ぶということもあって味噌として単独で食べると塩味が強すぎる。

これが失敗の原因でした。

 

一方、西京味噌(画像右)は材料的にはほぼ同じなんですけど、信州味噌と比べると……

 

  • 麹の割合が多い
  • 塩分が少なめ
  • 熟成の期間が短い
  • 材料に水飴を加える時もある

 

などの特徴があるようです。

 

実際舐めてみると塩味に角がなく白餡を思わせるようなほのかな甘みがあります。

まったりとした独特の風味も心地よい。

だから単独で焼いて食べてもイケちゃうんですね。

 

焼き味噌(ウチ飲みスタンダードバージョン)

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ではあらためて、ウチで酒の肴としてよく作っている焼き味噌をご紹介します。

 

【材料】(1人前)

  • 西京味噌 適量(20~25g目安)
  • ネギ 1〜2㎝くらい
  • かつお節 ひとつまみ
  • ピーナッツ 適量(4〜5粒目安)

 

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まずネギをみじん切りにします。

 

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今回はギリギリまで材料を絞ったシンプルなレシピとしてご紹介しているため省きましたが、ネギの代わり、あるいはネギに加えて、大葉やショウガ、ミョウガなど季節の薬味を加えてもOK! いやむしろその方がうまい。

 

また柑橘系の果実(すだち、レモンなどなど)があれば、皮一片を細かく刻んで入れる時もよくあります。鼻先で立ち昇る柑橘特有の香りはとても風流ですよ。

 

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ピーナッツは綿棒で叩くか、カラ瓶の底などを押し付けて、適当なツブツブになるまで砕きます。

 

ちなみに蕎麦屋で出される焼き味噌には、蕎麦の実を炒ったもの、あるいは茹でたものが混ぜ込まれているお店も多いです。

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こちらが蕎麦の実。プチプチした食感がかなりいい! 

 

本来ならマストで使いたいところなのですが、いかんせん蕎麦の実って、普通のスーパーではほとんど扱われておらず、正直手に入れづらい。

 

だからピーナッツは、蕎麦の実の代わりなのです。

 

アーモンドやクルミなどの他のナッツで代用してもOKですよ。

ただ好みからいわせてもらうと噛み応えがしっかりあり、蕎麦の実の感じに一番近いピーナッツがイチオシです。

 

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みじん切りのネギ、ピーナッツ、かつお節。以上の材料を西京味噌に混ぜ込めば準備OK! あとはこれを塗りつけて焼くだけです。

 

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先程のようにアルミ箔に塗ってもよいのですが、それでは芸がない。蕎麦屋のようにシャモジに塗りつけて、直火で焼きましょう。

 

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あと、焼く前に包丁で味噌に格子状の模様を入れておくとお店で出されている焼き味噌っぽくなりますよ。 

千葉の柏のとある蕎麦の名店では、丸くて平べったい石の上で味噌を焼いて供されてます。いつかこのスタイルもマネしてみようと思ってます。

 

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シャモジは端が焦げてしまうので、普段使いのものは流用せず、焼き味噌専用のシャモジとして100円ショップで購入したものを使っています。 

あ、火の扱いと火傷にはくれぐれも注意してくださいね! しゃもじに火がつかないように気を付け、念のためボウルなどに水を用意しておいてください。煙で火災警報器がなってしまうこともあるので、煙が出ないように注意してください。

 

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ガス台にて適度に表面を直火で炙り、全体的に焦げ目がつけば完成です! 

 

焼き味噌は日本酒とともに

このまま食べてもいいのですが……いや、ここはキライでなければやはり日本酒と合わせるのがなんといってもベストです。ささ、さっそく試食といきましょう。

 

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格子の区画の一部を箸ですくい取って、ひと口。

 

う~ん、まろやかな甘味と塩味、かつお節のうま味とネギの薬味が混じり合った味噌の風味が口腔内に広がります。

焦げた香ばしさもいいし、ピーナッツのカリップチッとした歯ごたえも心地よい。

 

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間髪入れずに日本酒をくびりと一献。

 

「!!!」

 

くぅ~、焼き味噌と日本酒が互いを引き立て合ってる!

 

味噌を食べれば酒が欲しくなり、酒を含めば味噌を食べたくなる。

一区画味噌を舐めては酒をチビリ。こんなミニマムな組み合わせなのにとても口福な時間が訪れます。

 

材料と工程がシンプルなためか、家で作ってもお店に迫る味を再現できるのも魅力。

今晩の肴を何にしようかなと迷われているなら、ぜひ焼き味噌を! オススメです。

 

書いた人:飯炊屋カゲゾウ

飯炊屋カゲゾウ

1974年生まれの二女一男のパパ。共働きの奥さんと料理を分担。「おいしいものはマネできる」をモットーに、料理本やメディアで紹介されたレシピを作ることはもちろん、外で食べた料理も自宅で再現。家族と懐のために「家めし、家BAR、家居酒屋」を推進中。「双六屋カゲゾウ」名義でボードゲーム系のライターとして活動中。「子育屋カゲゾウ」名義で育児ブログも更新中。

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