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Wikipediaは2019年にGoogle検索経由のアクセス数を30億件も失う


IT関連の調査企業であるSimilarWebが、「Wikipediaは2019年にGoogle経由のオーガニック検索に由来するアクセス数を30億件も失った」と報告しています。

How Wikipedia Lost 3 Billion Organic Search Visits To Google in 2019 | Hacker Noon
https://hackernoon.com/how-wikipedia-lost-3-billion-organic-search-visits-to-google-in-2019-qz6630u6

Wikipediaは2001年に設立されて以来、世界中の人々が使用するオンライン百科事典として、多くの情報をストックしてきました。Wikipedia上に存在する情報が増え続けているのに対して、Wikipediaを訪問するユーザーのアクセス数は、近年減少し続けています。WikipediaへのPCからのアクセス数は月間PVは22億件ありましたが、2020年1月には19億件まで減少(14%の減少)しました。


SimilarWebの調査によると、過去24カ月間でWikipediaは上記の数字以上にオーガニック検索由来のアクセス数を失っているとのこと。この原因は、Google検索で何かしらの単語を検索した際に、検索結果ページに表示された情報を見て満足し、サイトページをクリックせずに終わる「ゼロクリック検索」にあります。

例えば俳優のエディ・マーフィーについて検索した際、検索結果画面に表示される情報を見て満足し、どのサイトページにも訪問しないというケースがゼロクリック検索です。


Wikipediaのオーガニック検索経由のアクセス数が減少し始めたのは2015年頃で、この原因はGoogleがGoogle検索に導入したナレッジグラフダイレクトアンサーといった、検索結果ページ上の情報を充実させるためのコンテンツにあります。ナレッジグラフやダイレクトアンサーのような検索結果ページ上である程度の情報を得られるシステムは、ウェブ上で情報を検索しているユーザーにとっては有益なものですが、アクセス数で成り立つ多くのウェブサイトにとっては理想的な形とは言えません。

実際、SimilarWebによれば約89万件のうち、ウェブサイトへの訪問につながった数はわずか3万件(約3.4%)で、残りはすべてゼロクリック検索で満足してしまったということになります。ナレッジグラフやダイレクトアンサーの恩恵のひとつが天気予報。Google検索で「ロサンゼルスの天気」について調べると、天気予報を気軽にチェックできるため、わざわざ気象情報サイトなどを訪れる機会が減ったという人も少なくないはずです。Googleにロサンゼルスの天気情報を提供しているのはThe Weather Channelで、実際にロサンゼルスの天気情報を検索したユーザーのうち、The Weather Channelを訪問したユーザーの割合はわずか15%。つまり、85%がゼロクリック検索で得られる情報で満足してしまったということになります。


ゼロクリック検索の影響をより詳細に調べるため、SimilarWebはWikipediaの中でも特にオーガニック検索からのアクセスが多いキーワードを検索しました。以下がそのトップ20で、有名人や映画、テレビシリーズなどが並んでおり、最も検索数が多かったのは「フレディ・マーキュリー」です。


Google検索上でフレディ・マーキュリーについて検索すると、WikipediaのページやYouTubeのムービーなどが表示されます。Wikipediaの「フレディ・マーキュリー」のページは最も閲覧されているページのひとつですが、Google上で「フレディ・マーキュリー」と検索したユーザーの71%はゼロクリック検索で満足し、個々のウェブサイトを訪れることはありません。


ゼロクリック検索が増加し始めた2015年、Googleはわずか6カ月でWikipediaへのアクセス数を5億5000万件以上減らしました。SimilarWebによると、Wikipediaはゼロクリック検索の影響を受けて、2019年にGoogleのオーガニック検索経由のアクセスを30億件以上も失っているとのこと。

なお、ゼロクリック検索によるアクセス数の減少はナレッジグラフやダイレクトアンサー以外にも多くの要因があり、そのひとつがGoogleの検索結果ページ上部に表示されるYouTubeの埋め込み動画です。検索結果ページの最上部に動画へのリンクが表示されるため、SimilarWebは「YouTubeはWikipediaにとって最も激しい競争相手になっている」と記しています。


Wikipediaのアクセス数を奪っている要因はゼロクリック検索やYouTube以外にも複数あるはずですが、2015年頃からの5年間で猛烈にアクセス数が減少していることから、SimilarWebは「Googleが検索トラフィックに対してどれだけの影響力を持っているかがわかる」としています。

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in ネットサービス, Posted by logu_ii

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