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Amazonが自社ブランドの商品を他社製品より目立つ位置に表示させているという指摘


Amazonは「安い価格で競合他社をたたきつぶして市場を独占した後にある日突然商品価格を上げて多大な利益を得る」という戦略を取っているといわれています。このような戦略を取るAmazonに対し、アメリカの公正取引委員会はたびたび調査を行っています。そんな中、新たに「Amazonが自社ブランドを検索結果の最も目につく位置に置きだした」という、市場独占の前進ともみられる調査報告があがっています。

Amazon’s New Competitive Advantage: Putting Its Own Products First — ProPublica
https://www.propublica.org/article/amazons-new-competitive-advantage-putting-its-own-products-first


ニュースメディアのProPublicaが報じている情報は、市場コンサルタントのジェイソン・ボイス氏から得たもの。

Amazonは、商品検索結果に広告を出すことを可能にしており、広告費を払った企業の商品は検索結果の上部に「sponsored」というタグ付きで掲載されることになります。Amazonの検索結果ページの上部に商品が表示されると人目につきやすく、購買につながり易くなるため、このような広告を利用する企業は多く存在します。


しかし、自然派のサプリを販売するボイス氏の匿名のクライアントよると、「メラトニン」といった単語でAmazon内を検索した時に、スポンサータグが付けられた列の最も左側、一番人の目に付きやすい位置に、AmazonのオリジナルブランドSOLIMO(ソリモ)の商品が表示されるようになっているとのこと。ボイス氏のクライアントがこの仕様に気づいたのは2020年3月下旬のことで、Amazonの食料品ブランド「Amazonフレッシュ」などの他の商品でも同様のことがみられたと、ProPublicaは確認しています。

以下の画像の赤枠で囲っているものが、Amazonの自社ブランド商品。Amazonが「最上列・左端」という最も人目に付きやすい位置を自社ブランドの商品に充てているため、広告費用を払っても、他の企業はその後ろや下にしか商品を掲載できません。


Amazonは企業として「顧客ファースト」を打ち出していますが、この動きは明らかに顧客ファーストに反するものだと、元Amazon従業員のコンサルタントであるティム・ヒューズ氏は述べています。「なぜ、自社のブランドがお客様にとってよりよいオプションだと見なされているのでしょうか。自社ブランドが他よりも必ずしも安く、優れているわけではありません」とヒューズ氏は指摘しています。

上記のような仕様変更は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックでAmazonの需要が増加した時期に行われました。Amazonは既に公正取引委員会の調査対象となっていますが、この動きはさらなる疑惑を呼ぶと指摘されています。

ProPublicaがAmazonと連絡を取ったところ、Amazonは今回の「自社ブランドを押し出す」戦略を認めました。Amazonの広報担当者は「他の小売業者と同様に、Amazonは定期的に『お客様が最も便利だと感じるのは何か』という考えを中心に、さまざまな要素を踏まえ、私たちショップの空間の使い方について決定を行います。小売店としては当たり前のことで、これは何十年も行われてきました」と述べています。また、Amazonの広報担当者は、この戦略が何カ月もかけて計画されたものであり、パンデミックを利用したという考えを否定しています。

加えて、指摘された商品の表示位置は「Amazon専用のもの」ではなく、あくまでアルゴリズムによるもので、Amazonの商品が最上部・左端に表示されたのは「消費者がAmazonの商品を好んだ結果」だとAmazonの広報担当者は説明。「Amazonの自社ブランドは他のブランドに比べてカスタマーレビューの評価が平均的に高く、返品率が低く、リピート率が高いのです。結果として、他の小売店のように、Amazonがプロモーションとマーケティングの中で自社ブランドを強調する結果となりました」とのことです。

by palomaleca

ただし、Amazonの元従業員であるジェームズ・トムソン氏は、Amazonの自社ブランドの製品が、明らかにアルゴリズムの基準以下の売上げであるにもかかわらず、検索結果の1ページ目に表示されることがあると指摘。トムソン氏はAmazonの売上げを分析した結果、「男性用シャツ」で検索した時に1ページ目に表示される2種類のAmazonエッセンシャルのシャツが、過去30日の売上げを考えると2ページ目最下部に表示されるべきだと述べています。

ボイス氏は、今回のような戦略を取ることで、Amazonは自社ブランドの表示にかかる費用を削減でき、その分商品価格を低くすることができると述べています。これはサードパーティのブランドにはない大きな優位性です。

そして、最上列・左上という目立つ場所に自社ブランドの商品を表示すると、消費者はより多くのAmazonブランドを購入することになり、Amazonブランド自体の売上げが上がり、アルゴリズムの評価も上がるとヒューズ氏。Amazonは「そのような戦略はない」と否定するものの、これにより、Amazonブランドが競合他社に比べよい立ち位置を得られる仕組みとなっているわけです。

ヒューズ氏はAmazonは自社ブランド宣伝の取り組みに対し、時間とともに積極的になっていると指摘しています。上記のような仕組みにより、記事作成時点では人気のないAmazonブランドの商品であっても、将来的に大きな売上げを上げられる可能性があるとのこと。有料広告よりも前に自社ブランドの商品を表示するという取り組みは、短期的には広告収入が下がる可能性があるものの、長期的に見てAmazonに勝利をもたらす戦略だと指摘されています。

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in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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