サイエンス

超新星爆発寸前かと思われていたベテルギウスが持ち直してきている

by ESO/Digitized Sky Survey 2

過去にないほど明るさが低下し、寿命が尽きようとしていることが取り沙汰されてきたベテルギウスが、再び輝きを取り戻しつつあることが分かりました。

Mysterious faded star Betelgeuse has started to brighten again
https://www.nature.com/articles/d41586-020-00561-z

The Fall and Rise of Betelgeuse - Sky & Telescope - Sky & Telescope
https://skyandtelescope.org/astronomy-news/fall-rise-betelgeuse/

Oddly dimming star Betelgeuse isn't ready to explode after all
https://www.nationalgeographic.com/science/2020/02/oddly-dimming-star-betelgeuse-wont-go-supernova-after-all/

冬の大三角の一角を成す1等星のベテルギウスは、2019年10月以来明るさが半減しており、2019年12月には観測史上最低の明るさを記録。これは、ベテルギウスの活動が低下していることを示唆していることから、超新星を引き起こす予兆だと話題になりました。

超新星爆発の兆候を見せるベテルギウスが爆発すると満月級の明るさになる - GIGAZINE


ベテルギウスが暗くなっているのは、電波望遠鏡の観測により明らかになりました。左の2019年1月に観測されたベテルギウスと、右の12月の観測結果を見比べると、ベテルギウスの下半分が暗くなっているのが分かります。

by ESO/M. Montargs et al.

アメリカ・ヴィラノバ大学の天文学者エドワード・ガイナン氏によると、実際にベテルギウスが変形しているのか、ちりなどの影響で一部が暗くなっているのかは分からないとのことですが、ベテルギウスの明るさが低下しているのは肉眼でも分かります。以下の写真の内、左は2016年2月に撮影されたベテルギウスで、右は2019年12月31日に同じカメラの設定で撮影したベテルギウスです。

by Brian Ottum and EarthSky

2020年2月中旬には、かつての3分の2ほどの明るさになったベテルギウスですが、ほどなくして明るさの低下が鈍化。それどころか、再び明るくなり始めています。そのことを示すグラフが以下。赤枠の部分を見ると、2月中旬には横ばいになったベテルギウスの実視等級が、再び上昇に転じているのが分かります。


ガイナン氏は「ベテルギウスは、最も暗かったころに比べて約10%明るくなっています」とコメント。一方、ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの天文学者アンドレア・デュプリー氏は「今のところ、底を打っているように見えますが、また暗くなり始めないとも限りません」と述べて、このまま元の輝きを取り戻すかどうかは分からないと指摘しました。

国際天文学連合天文電報中央局の電子速報The Astronomer's Telegramでベテルギウスの明るさについて報告したミネソタ天体物理学研究所のロバート・ゲールツ教授らは、「視覚的な明るさが低下したからといって、ベテルギウスの総エネルギー出力が大きく変化したとは限りません。従って、ベテルギウスが爆発するのが明日なのか数十万年後なのかはわからないものの、現状が差し迫った星のコア崩壊の前兆であるという可能性は低いです」と述べて、ベテルギウスが超新星を起こすのは当分先になる可能性が高いことを指摘しました。

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in サイエンス, Posted by log1l_ks

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