コアウェブバイタルは段階的な評価、0か1かではない

[レベル: 上級]

5 月 18 日 〜 20 日にオンライン開催された Google I/O 2021 ではコア ウェブ バイタルに関する Q&A セッションがありました。

このセッションのなかで、Google 検索のランキングにおけるコア ウェブ バイタルの評価方法について新しい情報が出てきたのでこの記事で共有します。

端的に言うと、次のような情報です。

  • コア ウェブ バイタルは段階的な評価
  • 良好をさらに改善しても評価は上がらない
  • 3 つの指標すべてが良好でなくても相応に評価される

それぞれを詳しく解説します。

CWV 評価は「0 か 1 か」ではない

コア ウェブ バイタルの評価は「0 か 1 か」ではありません。
どういうことかと言うと、次のような扱いにはなりません。

  • 「良好」なページだけが評価される
  • それ以外のページ、つまり「改善が必要」と「不良」のページはまったく評価されない

※良好・改善が必要・不良の区分はヘルプページを参照

「不良」が評価されないのは当然として、Search Console のウェブに関する主な指標レポートで黄色で表される「改善が必要」な状態のページの扱いははっきりしていませんでした。

改善が必要なページであっても段階的なスケールで評価されます。
良好ではなかったとしてもそれなりに評価されます。

ですが、同じ「改善が必要」でも幅があります。
良好にどの程度近いのかで評価の度合いが変わってきます。

Q&A セッションにも登場していた John Mueller(ジョン・ミューラー)氏が図に表してくれました。

非常にわかりやすい図です。(笑)

黄色の「改善が必要」は勾配のラインになっています。
赤の「不良」とは異なり、まったく評価されないわけではありません。
緑の「良好」に近づくほど評価の度合いが上がってきます。

ということで、検索におけるコア ウェブ バイタルは段階的に評価されます。

良好以上には良好にならない

良好と判断されたページをさらに改善してもそれ以上に評価が上がることはありません。

たとえば、LCP が 2 秒のページは「良好」として判定されます。
このページの LCP をさらに改善して 1 秒にしても、それ以上評価は上がりません。
良好のなかには差はないということです。

一方で、LCP が 10 秒のページ(不良)を 1 秒(良好)に改善すれば、もちろん評価は上がります。

ランキング観点に限って言えば、良好ならそれで十分であり、それこそミリ秒の改善にまでこだわる必要はありません。

注意してほしいのはあくまでも「検索アルゴリズムにおける評価」に関してです。
ユーザー体験の観点から見れば、良好判定であってもコア ウェブ バイタルの状態が良ければよいほどユーザーは快適に感じるでしょう。

3 教科で満点の優等生でなくてもいい

ランキングで評価されるには LCP/FID/CLS の 3 つの指標すべてが良好でなくても構いません。
LCP と FID は良好だけれど CLS は改善が必要、こんなページであっても相応に評価されます。

もっとも、LCP が 2 点、FID が 3 点、CLS が -1 点で「2+3-1=4」のような単純なものではないでしょう。

いずれにしても、不良でない限りは評価はまったくのゼロではありません(そうは言っても、検索結果では他のページとの比較になるので喜んでばかりはいられませんが)。

CWV 改善の優先付け

この記事で説明したことから考えると、コア ウェブ バイタル改善に優先度を付けると次のようになるでしょうか。

  1. 不良のページ、指標を最優先に改善する: ランキングにも UX にも与えるインパクトが最も大きい
  2. 改善が必要なページを改善する: 評価を少しでも上げるため
  3. 良好なページをさらに改善する: ユーザー体験のさらなる向上(ランキングには影響しない)

Q&A セッションは YouTube の録画で視聴できます(この記事で触れた部分は 25:23 から始まります)。