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「宇宙寺院」23年打ち上げへ 醍醐寺とテラスペースが合意 ご本尊や曼荼羅を搭載

» 2021年02月02日 00時01分 公開
[ITmedia]

 世界遺産の醍醐寺(京都府伏見区)と京都大学発の宇宙ベンチャー・テラスペース(京都府左京区)は2月1日、人工衛星による「宇宙寺院」の開発と打ち上げを目指して業務提携を発表した。2023年にテラスペースが打ち上げるIoT衛星に寺の機能を持たせる。

テラスペースの北川貞大代表(写真=左)と総本山醍醐寺座主仲田順和猊下(写真=右)

 宇宙寺院の名称は「浄天院劫蘊寺」(じょうてんいんごううんじ)。鎮護宇宙をかかげる醍醐寺の流れを汲む寺院を高度400k〜500kmの地球低軌道上に“建立”する計画だ。

 衛星は携帯電話の電波が届かない山間部の文化財保護を目的としたもの。ペイロードの半分を宇宙寺院とし、本尊となる大日如来像や曼荼羅(まんだら)を搭載する。

 衛星は地球を約1時間半で1周し、「地球のすべての地域をカバー」(テラスペース)。宇宙寺院の現在位置はスマートフォンアプリなどで確認できるようにする。

宇宙寺院の構造(出典は劫蘊寺公式サイト)

 テラスペースは2020年設立の宇宙ベンチャー。プロジェクトでは人工衛星の開発に加え、醍醐寺と共同で宇宙寺院の運用と事務局業務も行う。

 醍醐寺は今後、地球を含む宇宙全体の平和と人類の宇宙での活動の安全を祈願する「宇宙法要」を定期的に開催する。第1回は2月8日の予定で、当日はYouTubeで生中継する。参加申し込みは宇宙寺院・浄天院劫蘊寺のWebサイトで受け付ける。

 醍醐寺は874年(貞観16年)創建の真言宗醍醐派総本山。200万坪以上の広大な敷地は世界遺産に指定登録され、年間40万人から50万人が観光に訪れる。テラスペースの取締役を務める醍醐寺の仲田順英執行・統括本部長は、1月24日に醍醐寺で行われたシンポジウム「観光からみた宇宙5」に出席し、「宇宙に人類が進出する時代だからこそ、心の拠り所になるところも必要ではないか」と話した。

1月24日に行われた醍醐寺霊宝館で行われたシンポジウム「観光からみた宇宙5」で基調講演を担当した仲田順英執行・統括本部長(公式動画より)

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