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 介護人材不足や新型コロナ禍の長期化、エネルギー・食料品の急激な物価高騰──。未曽有の危機が次々と押し寄せ、介護業界は大きな転機を迎えています。

 信用調査会社の東京商工リサーチの調べによると、2022年1~9月の介護事業者の倒産件数は前年同期比51件増の100件に達し、過去最多になりました。慢性的な人手不足の下、コロナ対策の資金繰り支援の効果が以前より薄れ、光熱費や燃料費が上昇したことで経営環境が悪化。さらに通所介護事業所を展開するグループ会社の連鎖倒産も影響したとのことです。

 倒産件数を介護サービスの種別に見ると、通所・短期入所45件が最多で、訪問介護が36件、有料老人ホームが10件、その他が9件。倒産した介護事業者の89.0%を従業員20人未満の小規模な法人が占めました。経営環境の急激な変化が、資金力の弱い中小零細事業者を直撃した形です。

 10月28日、政府は電気代やガス料金の負担軽減策などを盛り込んだ「総合経済対策」を閣議決定しましたが、中小事業者に対する支援の効果は未知数といえます。現在の状況が続けば、介護事業者の倒産がさらに増えかねません。

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