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サイトのエンゲージメントを明日から改善させる3つのヒントとTIPS(後編)

ウェブサイトのエンゲージメントに関して解説するこの記事、前編で紹介した「5つの測定方法」に続いて、後編では「明日からできる3つのエンゲージメント改善策」を紹介する。
筆者の見解はすべて筆者自身のものであり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、Mozの見解を反映しているとは限らない。

この記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。前編では、ウェブサイトのエンゲージメントを測定する5つの方法について説明した。後編となる今回は、エンゲージメントを改善する3つの方法を見ていこう。

まず前編を読んでおく

(再掲)
ウェブサイトのエンゲージメント測定
■測定する方法
●スクロール距離(読了率)
・GA4では90%を自動で測定
・25%、50%、75%、100%、90%
・スクロール距離ごとに独立したトリガーを設定する
・それぞれカスタム指標として保存する
●重要CTAは閲覧されたのか
・要素の表示トリガー
・1ページにつき1回発動するのか、1要素につき1回発動するのか選択できる
●フォームのエンゲージメント
・フィールドへの記入、スキップを記録する
・必須項目を示す印には意味がない(あるいは小さすぎて気づかれない)
●Google翻訳の利用状況
・サイトを翻訳する必要があるか
●アクセシビリティツールの利用状況
・例:Monsido Page Assistのウィジェットは利用されたか?
■改善する方法
① これらの指標を売上やコンバージョンの目標と結びつける
「このCTAを見た訪問者は、見ていない人よりコンバージョンの確率が90%高い」
② 完全な参照URL(リファラー)を記録する
③ 「?subscriber=yes」パラメータを使って、登録済みユーザーには登録を促すCTAを表示しないようにする
(再掲)

ウェブサイトのエンゲージメント改善策

ウェブサイトのエンゲージメントを測定するアイデアを、前編でいくつか紹介した。では、このデータやサイトのデータを使ってエンゲージメントを改善するにはどんな方法があるのだろうか。

ここからは改善策のセクションとする。

ウェブサイトのエンゲージメント改善策1
指標を売上やコンバージョンの目標と結びつける

最初に明確にしておくべきことは、次のポイントだ:

指標は、売上目標と結びつけるようにする必要がある。

このことは、あらゆる講演でいつも話をしている。

データを扱うシーンで、それがGoogleアナリティクスのレポーティングであれ何であれ、あちこちで見受けられる大きな間違いがある。それは「データを単体で見るだけで、他のものと結びつけない」ことだ。

言い換えれば、

  • 測定のための測定はやっている

のだが、

  • それがどのような影響をもたらすのかを語らない

ということだ。ここで言う「データがどのような影響をもたらすのか」とは、たとえば次のようなものだ:

このCTAを見た訪問者は、見ていない人と比べてコンバージョンの確率が90%高い。

だから、より積極的にこのCTAを活用すると、コンバージョンが増えると思われる。

変化をもたらすには、次のようなことが必要なのだ:

  • データを測定できる
  • そのデータがもたらす影響を説明できること
  • その説明を自信を持って伝えられること

そして、「こういったことが起きると売上が増える」といった形にするのが、最善の伝え方の1つだ。

ここまで説明できれば、測定したデータをもとに、自分に決定権がなかったとしても、決定権がある人に通じる形で伝えられる。次のように言われて動かない意思決定者は多くないだろう:

これこれこのように変えれば、これぐらいの確度で売上がこれぐらい増え、売上目標を早くに達成できる。その変更はさほど難しくなく、工数もかからない。

ウェブサイトのエンゲージメント改善策2
完全な参照URL(リファラー)を記録する

次の改善策は、「完全な参照URL(リファラー)の記録」だ。

これはJavaScriptが関係する話題だ。Googleアナリティクスのデータに「参照URL」というディメンションがあるのを知っているかもしれない。しかし、標準で使えるこのディメンションのデータは、必ずしも役に立つわけではない。

完全な参照URLはブラウザでは手に入ることが多いが、Googleアナリティクスではデフォルトでは捕捉できない。完全な参照URLを手に入れれば、正確にはどこから人が来ているのか、もう少し詳しい情報がわかるようになる。

まずは、このデータをGoogleアナリティクスで記録するようにする必要がある。その方法は、次のブログ記事で解説されている:

※Web担編注 リンク先ページでは、Googleタグマネージャーを利用してdocument.referrerをヒット単位でカスタムディメンションに記録する方法を解説している。

ただし、ブラウザはプライバシー保護を理由に、リファラー情報を制限する動きをしている。そのため、ここで解説している手法が今後も問題なく利用できるとは限らない。

これも本当に便利な情報だ。というのも、ある種のセグメント化を少し向上させられるからだ。

リファラーの分析というと、たとえば次のようなものが思い浮かぶだろう:

Redditからサイトに多くの人が来ている。

しかし、完全なリファラーを記録し、適切に分析すれば、次のような分析ができる:

Redditの、このサブレディット(コミュニティ、板)から多く人が来てコンバージョンに至っている。

この完全なリファラーの情報は、これまで手に入らないこともあった付加情報だ。だから私はこのディメンションのことを「完璧なリファラー」と呼ぶこともある。それぐらいすばらしいカスタムディメンションだ。

あなたのサイトでGoogleアナリティクスを使っているならば、このカスタムディメンションを追加してデータを蓄積しておくと、得られる情報が少し増えて、よりよい意思決定や改善方法の解明に役立つ。

ウェブサイトのエンゲージメント改善策3
「?subscriber=yes」パラメータの利用

3つ目は、UXに関するものだ。

あなたは、よく知っているサイトを見ているときに、次のようなことを体験したことはないだろうか?

お気に入りのサイトなので、メールマガジンを購読している。

今日もメールマガジンが届き、メールに書かれていた記事に興味があったので、リンクをクリックしてサイトに行った。

でもこのサイト、開くたびに「メルマガ登録しませんか」っていう巨大なポップアップが出てくるんだよな。もうメルマガに登録済みなのに……。

これは、私が個人的に不満に思っている問題だし、本当にやめてほしい。

でも、そうした会話をしていると、多くのWeb担当者は次のように言うのではないだろうか:

システムで出しているので仕方ない、そもそもメルマガ購読済みの人にはポップアップを出さないようにする方法がわからない。

やり方を教えよう。大きくは次のようなものだ:

  1. メルマガに記載する記事のURLには、「このURLにアクセスする人はメルマガ購読者である」ことを示すURLパラメータを追加しておく。たとえば、記事のURLが

    • https://example.com/blog/article/2021101501

    だとしたら、メルマガに書くURLは、次のようにする:

    • https://example.com/blog/article/2021101501?subscriber=yes
  2. ポップアップを表示するシステムで、URLに「subscriber=yes」のパラメータがある場合にはポップアップを表示しないようにする。

ポップアップを出さない代わりに「メルマガ購読ありがとうございます」のようなお礼を表示することもできるが、これは少しおびえさせてしまうかもしれない。なぜ自分が登録者だとわかったのかと不安に思ってしまう人もいるかもしれないからだ。とにかく、ユーザー体験を全般的に向上させる1つの方法ではある。

ここではメルマガ購読者のユーザー体験を例にしたが、この考え方はメルマガに限ったものではない。そもそも次のような原則が大事なのだ:

  • CTAは、コンバージョンが想定できる人にのみ表示すること。

そうでなければ帯域の無駄遣いにしかならず、ユーザー体験を悪化させるからだ。

メルマガはもうとってるよ!

買わせようとしないでほしい……

もう買ったのに!

そんな独り言をユーザーに言わせないためにも、こうしたパラメータを使って判別するやり方本当におすすめだ。この方法はほかのCTAにも応用できる。たとえば、次のような応用だ(これは少しシステム側の対応も必要かもしれないが):

  • 買い物をして、注文受け付けメールや支払完了メールを受け取り、そのメールに書かれていたリンク経由でウェブサイトに来た人には、買ったばかりのものを売り込まないようにする。

Googleタグ マネージャーでできることがたくさんある。URLのさまざまなパラメータをもとに、

  • このユーザーにもう見せたCTA
  • まだ表示していないメッセージ

を判断し、表示するメッセージを出し分けることも可能だ。これもまた、たくさんのエンゲージメントを測定する必要なく、簡単にユーザー体験を改善できるやり方だ。

すでに利用しているツールを使うだけで、ウェブサイトにやってくる人によりよいユーザー体験を提供できるのは、すばらしいことではないか!

結論

ここで紹介した測定方法と改善方法のいずれかを使って、あなたがより良いウェブ体験を構築するのに役立つことを願っている。

それでも新しいウェブサイトが必要かもしれない。すでにあるウェブサイトは管理が難しくて高くつくとか、巨大な古いゴミの山が燃えているということがあるかもしれない。何が悪いのかわかったものではない。しかし、まだ放り出してはならない。

よくわからなかったら、まず測定する。いまウェブサイトに手を付けるべきなのかどうかを判断するのはそれからだ。以上。

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