新型iPad miniを2週間使ったら、手放せない文房具になった話

iPad mini

新型iPad mini。高い性能とこのサイズ、iPadOS15の新機能の合わせ技で「ガジェット文房具」としての独特の立ち位置になれそうなタブレットだ。

撮影:伊藤有

新型「iPad mini」が発売されて約2週間が経った。自分の周囲も含め、300gのコンパクトなサイズ感、iPad Pro並みの十分な性能、最新のApple Pencil 2対応ということで、ここ最近ではM1版MacBook Airに並ぶくらい、高評価する人が多い機種だ。

性能評価は既報の記事に譲るとして、今回はiPad Proユーザー目線でみると、サイズが違うだけでまったく違う使い勝手を提案する製品になっているのが興味深かった、という話を書いてみる。

11インチ(Pro)→8.3インチ(mini)で使い方が全く変わった

iPad miniと付属品の化粧箱

iPad mini本体は一番安価なWi-Fiモデルで約6万円だが、ペンと純正保護カバー(Smart Folio)までほぼセットだと考えると、8万3230円が使い始めるコストになる。

撮影:伊藤有

1年半前、iPad Pro 11インチを発売直後に自腹購入したのだが、結局、1年弱使って、iPad Proは手放した。なぜかというと、長引くコロナでリモートワーク/社外ワークが増えたおかげで、記事執筆や原稿のチェック、写真の選定や加工までフルのデスクワークを、出先でこなす機会が増えてきたからだ。

要は、iPad ProをノートPC的に使うケースが予想外に増えてしまった。

iPad Proでも工夫すれば大抵のデスクワークはできなくはないが、全然「便利」ではない。

結局、2021年に入ったあたりで、M1版のMacBook Airをメインマシンにすると、画面サイズ(11インチ vs. 13インチ)やバッテリー駆動時間の長さなど、自分の使い方ではキャラ被りする点が多く(実際使わなくなった)、しばらくしてiPad Proは手放したというわけだ。

iPad miniのTouch ID

マスク着用する機会がまだ多いことを考えると、指紋認証(Touch ID)が使えるのはやはり便利。iPhoneも同じようにしてほしいくらいだ。

撮影:伊藤有

そんな環境で、改めてiPad miniがフィットする隙はあるか?が今回のテーマだ。

使い始めて数日ですぐに気づいたのは、iPad Proの時に比べて、飛躍的にペンとメモ機能を使うようになったことだ。

iPad Proではペンをほとんど使ってなく、正直にいうと、キーボードはほぼ90%以上の使用率、Apple Pencil(第2世代)を使ったのは10%以下だと思う(だから、SNSも含めて僕の過去の発言ではペンについてはほとんど言及していないはずだ)。

ペンの使用頻度が低かった理由は非常に単純。「Smart Keyboardがあるのにわざわざペンを使おうと思わなかった」こと、さらに当時は最新のiPadOS 15で初対応したスクリブルの日本語入力機能(手書きでの文字入力)がなかったからだ。

iPadは大は小を「兼ねない」

iPad miniとロディアNo16ノート

ロディアN°16とiPad miniのサイズを比べたところ。ひとまわり小さいが、かなり近いサイズだ。

撮影:伊藤有

miniのサイズがペンとの相性が絶妙に良いと思うのは、ちょうど紙のノートパッドのサイズと同じくらいだからかもしれない。伝統的なこのサイズには、機能性だけじゃない意味がある。

どんなカバンにも、さっと投げ込める大きさで、メモ用紙にしては少し大きめでアイデアをまとめるときに使いやすい(僕は写真のロディアN°16が一番好きなサイズだ)。

機能的には11インチのiPad Proでもまったく同じことはできるが、たとえば、仕事用のノートPCと一緒に持ち歩きたいとは、あまり思わない。iPad Pro+Smart Keyboard Folioは合計すると800gほどあって、重さが気になるからだ。

iPad miniとMacBook Air、取材カメラを1つのカバンに

300g程度の重さだからこそ、ノートPCを持ち歩くときにもカバンにとりあえず放り込んでおく、という使い方ができる。カバンはPeakdesignの「エブリデイスリング」のファーストモデル。

撮影:伊藤有

毎日持ち歩くという観点では「大は小を兼ねない」というのが、新型iPad miniを日常的に使う中で頻繁に感じることだ。

検索で手書きメモが探せる

iPad miniの機能のなかで、仕事に欠かせない側面を1つあげるなら、「手書きメモの検索機能」がある。

手書きメモの検索は以前から使えたものだが、iPad miniでアイデアメモを取るようになると、この認識能力の高さには改めて舌を巻くことになった。

iPadの手書きメモは検索でも探せる

手書きで書いたメモは、iPadOSの全体検索(Spotlight)でも探せる。タイトルとして認識されているのは、手書きメモの1行目の文字列。テキスト入力は一切していない。

筆者作成

僕が手書きを使うときには、だいたいがホワイトボード的に「仕事の進め方の組み立て」や「マインドマップ的なメモ」という使い方が多い。

こういう構造化しづらいテキストでも、何か文字を書いておけば、かなりの確率でちゃんと検索にヒットする。

iPadOS純正メモ。手書き文字を検索して探すところ

さらにメモ内検索では、手書きの文字列の箇所を探し当てることもできる。スクリーンショットはメモの「サイズ」を検索してみたところだ。あくまで体感値だが、認識精度は結構高く、十分使い物になる。

筆者作成

さらに、最新のiPadOS 15では、手書きメモの利用頻度を加速する「クイックメモ」機能も追加された。

ペンで画面右下から中央に、スッとスワイプすると、いつでも小さなメモ画面が出てくる機能だ。

メモ起動までのアクションが少なくなることで、思いついた瞬間に書き出せる「なめらかな思考のつながり」のような挙動が気に入っている。

どこでも手書き入力「スクリブル」はKindleと相性が良い

kindle

Kindleのメモ機能を「手書き」したところ。すぐにテキスト変換される。キーボードいらずで入力できるのは、スクリブル機能がOSに統合されてるからこそできることだ。

筆者作成

iPadOS 15からの目玉機能である、日本語手書きでテキスト入力ができるスクリブルについても触れておきたい。

この機能はiPadとペンを常用する上で、非常に重要な機能だ。

わざわざ「検索窓を手書き入力」する必要はないと思うが、OSレベルで対応しているおかげで、思わぬシーンやアプリで実用的に使える。

iPadOS 15のプレビュー時点での映像になるが、日本語手書き入力の快適さはこの時点からも推し測れる。

たとえば気に入ってるのは、Kindleで使うケースだ。

Kindle本を読んでいると、特定の一節に付箋のようにメモを付けたい時がある。

そういう時のために、Kindleには「メモ機能」もあるが、これがバッチリとスクリブル対応している。上のスクリーンショットのよに、ペン入力の際は入力欄が大きくなり、手書きしやすくもなる。手書き文字はすぐに文字認識されて、自動的にテキスト変換される。精度もまずまず良い。

ひとたびペンを握ったら、ちょっとした作業ならソフトウェアキーボードを出さずにそのまま作業を継続できる、思考を中断する必要はない……アップルがスクリブルの実装で考えたのは、ひょっとするとこういうことじゃないか、というのが、使っていて感じることだ。

(文・伊藤有

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