Moz - SEOとインバウンドマーケティングの実践情報

【必見】SEOの見積りをする前に“知っておくべき”ビジネス効果の測り方

SEOの対策をしたらビジネスにどのくらいの成果が見込まれるでしょうか? 自社のSEOでの可能性を見積もる方法について説明しています。ターゲットとなるキーワードを見定め、検索意図を分類したうえで、記事の順位を上げるための戦略を立てることが重要です。SEO会社の比較検討にも知っておくべき知識ですので、ぜひ参考にしてください。

SEOの可能性をビジネス成果にひもづけて見積もる手法や注意点を解説するこの記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。

前回の最後で、ロード氏は検索で表示される最善の順位を4位と結論付けた。どのような方法でその結論にたどり着いたのだろうか。後編となる今回は、次のようなことを説明する:

  • 「なんでも1位を」ではなく現実的な順位を狙う考え方
  • 実際の順位獲得のためのちょっとした方法
  • SEO担当者としてもつべきビジネスの考え方

まず前編を読んでおく

検索順位とクリック数の見積もり作業
検索順位とクリック数の見積もり作業(前編からの再掲)

検索順位ごとで得られる可能性を把握する方法

おさらいだが、今回の解説はSEOの成果見積もりでビジネス的に意味のある手法を解説している。例としてあげているターゲットのキーワードは「会社の設立(setting up a business)」だ。

現在の検索結果で上位にいるページを観察して現実的に考えると、僕たちが目指す検索順位は5位や4位のポジションがいいと判断した。僕はそこからさらに、4位が最善だという結論に行きついた

この結論を導くのに僕が考慮したのは、次の2点だ:

  • 順位を獲得する難易度
  • 順位を獲得した場合のリターン

具体的には、次のような手法を使った:

  1. ツールを使って、すべてのキーワードに対して表示される上位20件を一括でエクスポートする

  2. エクスポートされたリストで、勝てないと思ったサイトを削除していく

  3. 勝てそうなサイトだけを残して、キーワードや順位ごとにどれだけトラフィックを獲得できるかを試算する

上記の方法について詳しく説明しよう。

実は、ある検索キーワードで現在表示される上位20件のページを一括でエクスポートできるツールがたくさんある。僕が初めてこれをやったときは、Mozの「STAT」で上位20件をエクスポートする機能を使った。

そして、エクスポート結果をGoogleスプレッドシートに取り込んでいく。そうすることで、狙っている各キーワードでの上位20件の結果をスプレッドシートにまとめられる。

次に、勝てないと思ったサイトの行に印を付けて、その行を削除していった。すると、最終的には各キーワードに対して達成できるかもしれない検索順位だけが残った。

今回の場合の達成できるかもしれない検索順位は4位、6位、7位、そして今いる8位だ。この中から、キーワードごとに獲得可能な最高順位を調べ、クリック率曲線に照らして、どのくらいのトラフィックを増やせそうか試算した。こうした数値を試算するには、

  • 検索ボリューム
  • 順位ごとのクリック率参考値(前編で紹介したクリックスルー率曲線でだいたいの数字をとるか、こういうデータを使ってもいい)
  • 現在の順位

という3種類のデータがあれば、基本的なスプレッドシートの関数で自動的に計算できるはずだ(IF関数やVLOOKUP関数といったもの)。もしスプレッドシートが苦手ならば、電卓で計算していってもいい。

例:キーワード「会社の設立(setting up a business)」の順位ごと判断とトラフィック見積もり
スプレッドシートの例(あくまでも参考のためであり、数値は厳密ではない)

検索意図を分類してさらに掘り下げる

どの順位までいけそうか明確に理解できただろうし、一見した印象よりはるかに微妙な違いを加味した結果になったので、ここでやめてもいいだろう。

しかし、もう少し深堀りしたいという人は、他の情報を分析に取り入れることもできる。

たとえば、現時点で次のような競合ページが候補としてある:

  • 4位「会社の作り方」
  • 6位「会社設立サービス」
  • 7位「50%オフで会社設立」

これもGoogleスプレッドシートを使って、意図ごとに分類できる(検索キーワードを分類するのではなく、検索結果にある個々のページを分類する)。

4位の「会社の作り方」は情報であり、「how to(ハウツー)」だ。

6位の「設立サービス」も7位の「50%オフ」も、何かを販売しようとしていることを示唆している。これは明らかに購入向けページだから「Buy」だ。

こうして分類しておくと、必要に応じてさらに便利に使えるようになる。

製品ページで検索順位を上げなければいけない場合

たとえば、あるサイトに取り組んでいて、製品ページの順位を上げることでビジネス成果を伸ばさなければならないとしよう。そうしたページで順位を上げるには、購入検索を狙う必要がある。

そこで、さらに絞り込むために、見積もりシートで作業することになる。

先ほどは「勝てないと思ったサイト」の行を削除したのだが、今回は「情報検索向けサイト」の行を削除していくことになる。具体的には、次のようなページだ:

  • タイトルが次のようなもの:
    • 「how to」
    • 「top tips(とっておきのヒント)」
    • 「instructions how to(手順)」
  • ブログ記事に見えるもの

こうしたページにすべてに印を付けて、削除していく。

「会社の設立(setting up a business)」の例でいえば、「how to」の情報検索結果である4位の「会社の作り方」には勝てないことになる。すなわち、製品ページで狙う場合は、可能な最高順位は6位だ。

例:キーワード「会社の設立(setting up a business)」の順位(製品ページの場合)
例:キーワード「会社の設立(setting up a business)」の順位(製品ページの場合)

ただ、実際のところ6位はクリック率がかなり低い。僕たちはすでに8位に表示されているため、このキーワードでSEOする場合に得られるビジネス価値は実のところかなり小さいかもしれない。そうなると、他のことに力を入れた方がいいということになる。

このように、とても対抗できない結果を除外するだけの方法でも、あらゆる可能性を簡単かつ現実的に絞り込める。

もちろん、対象が製品ページでなくてもいい場合は4位を狙えるので事情は変わる。ただし現在4位の「会社の作り方」は情報に関する結果で「how to」なので、これから4位を目指すにはコンテンツをブログ記事にするのがいいだろう(製品ページを更新しても4位にはなれない)。

見積もりの目的はSEOの可能性を明らかにすること

ここまでやってきた見積もりの目的は、誰かに代わって意思決定をすることではない。たとえば、このスプレッドシートを誰かに送って、SEOの専門家に見てもらう必要はない。このようにSEOの可能性をビジネス成果にひもづけて見積もれば、それだけで人々に出発点を提示できる ―― 検索エンジンアルゴリズムの調査に多くの時間を費やし、さまざまなことについて深く考え込み、情報を1か所に集めることをしなくても。

SEOの専門家にこのシートを見てもらう場合には、最初からすべての情報が目の前に揃っていることになる。これは実際、Airaで一般的に採用しているアプローチだ。このような作業をするときはPythonスクリプトを使うことが多く、このスクリプトで上位20件の結果をすべて取り込む。また、これらの検索結果(検索キーワードそのものではなく、個々の結果)を、情報的か取引的かに基づいて分類することもある程度自動化している。

これで、SEOの可能性が明らかになる。現時点で獲得可能な最上位を明らかにして、そこから得られるリターンを判断し、現在の順位で得ているリターンを差し引けば、純粋なゲインを見積もれる。最終的なスプレッドシートでは、最も高い可能性から最も低い可能性まで整然と並べることができ、検索結果の各ページを種類に基づいて分類できる。

僕たちは、オーソリティなど他の要素も取り入れている。詳しく掘り下げようとするなら、オーソリティも結果を絞り込むために使用できる。また、検索結果を使い、さまざまな検索の類似度に応じて分類している。こういった考え方に慣れて本格的な分析をするようになったら他の要素も駆使して調査できるが、ここではそこまでやる必要はない。

なぜなら、この流れに沿ってどのステップを実行してみても、検索結果から得られる成果の微妙な違いを理解できるし、それは非常に前向きな進歩になるからだ。この微妙な違いを取り込めるほど、さまざまな要素をよりすばやく識別できるようになる。これらのステップはすべて、いずれにせよ必要になる判断だ。これができれば君はもう、SEOの優れた専門家だ。

君はすでに、今回紹介したSEOの可能性を見積もる方法を把握していることになる。重要なのは、その答えを出すまでの過程をスピードアップすることだ。

とにかく、今回は見てくれてどうもありがとう。僕自身、とても楽しんで説明できた。みんなも楽しめたことを願いつつ、感想を聞けるのを楽しみにしている。ではまた。

この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

アクセシビリティ
広義には、障害者、高齢者を含むすべての人間が、同じレベルでサービスや機器、施設を ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]