【1月3日 AFP】人口14億人を擁するインドの巨大アルコール市場で、ワインの占める割合はわずか1%未満にすぎない。平均消費量は1人当たりスプーン数杯ほどしかなく、蒸留酒が人気を集めている。こうした中、ワイン市場に挑もうとしているのが、国内最大メーカー、スーラ・ビンヤーズ(Sula Vineyards)だ。

 インド市場の17%を占めるスーラ・ビンヤーズは昨年末、ムンバイ証券取引所(BSE)とナショナル証券取引所(NSE)に上場した。

 スーラなど生産者は、都市部中間層の嗜好の変化に伴い、1980年代に中国で経済成長と共に起こったワインブームがインドでも起こると期待している。

 スーラ・ビンヤーズの創業者、ラジーブ・サマント(Rajeev Samant)最高経営責任者(CEO)は「ワインの時代が来ている」と強調した。

 スーラという名は、サマント氏の母親スラバにちなんでいる。

 サマント氏は、インド経済の中心地、西部ムンバイ(旧ボンベイ)から約160キロに位置する古代都市ナシク(Nashik)出身。米カリフォルニア州のスタンフォード大学(Stanford University)卒業後ナシクに戻り、家族が所有する土地でバラやマンゴーの栽培を始めた。

 スーラが現在ある場所は、ヒョウやヘビが出る何もない草原だった。電気も電話も通っていなかったという。しかし、「この地には私を魅了する何かがあった」と語った。

 インドは世界最大のブドウ生産国の一つで、ナシクも主要産地となっている。しかし、当時ブドウといえばワイン用ではなく、すべて果物として消費されるかレーズンに加工されていた。

 サマント氏は、米カリフォルニア州のワイン産地、ナパバレー(Napa Valley)を訪れ、「おいしい、誇れるようなインド国産ワイン」を造ることを決めたという。

 1996年に最初のブドウの木を植えた。その後、広大なリゾートも建設した。

 スーラのあるナシクは今、インドのワイン都市との評判を得ている。