Googleが検索で利用している主要なAIは4つ、RankBrain/Neural matching/BERT/MUM

[レベル: 上級]

現在検索に使っている AI(人工知能)について Google は公式ブログで紹介しました。

4 つの主要な 検索 AI

いくつものモデルの AI を Google は検索に利用していますが、主要な AI は次の 4 つです。

  • RankBrain(ランクブレイン)
  • Neural matching(ニューラル マッチング)
  • BERT(バート)
  • MUM(マム)

この記事では、それぞれの AI の特徴を簡潔にまとめます。

RankBrain

RankBrain は 2015 年に検索に導入されました。
Google 検索に初めて本格的に使われるようになったディープラーニングを用いた AI です。

概念と単語の関係性を RankBrain は理解できます。
人間なら直感的にわかってもそれまでは機械にはわからなかったような質問(クエリ)の意味をわかるようになりました。

特に、未知に言葉に強い長所が RankBrain にはあります。
Google で検索されるクエリの 15% は初めて検索されるクエリで、その処理に RankBrain は関わっていたとのことでした。

最初のディープラーニング モデルですが、今でも検索の重要な AI の 1 つとして RankBrain は稼働しています。
RankBrain は現在、すべての言語においてランキング決定のために使われています

📝参考

Neural matching

Neural matching は 2018 年に検索に導入されました。
ウェブ検索での導入でしたが、2019 年にはローカル検索にも導入されています。

検索クエリの概念とページに書かれている文章の概念を Neural matching は対応づけることができます。
質問の単語がページに含まれていなくても、対象となるページを選択できます。

Neural matching の向上は、30% のクエリに影響しているとのことでした。

Neural matching も現在、すべての言語でランキング決定のために使われています。

📝参考

BERT

BERT は 2019 年に検索に導入されました。
自然言語処理の能力を飛躍的に高めた AI モデルです。

単語の組み合わせが、異なる意味や意図をどのように表現しているのかをより適切に理解できるようになりました。
従来なら重要ではないとして考慮されなかったワードでも、クエリによっては無視すると検索意図が変わってしまうのできちんと考慮に入れることもあります。

BERT は現在、すべての言語でランキング決定のために使われています。
特に英語では、ほぼすべての検索において結果取得とランク付けのプロセスで重要な役割を担うようになっています。

📝参考

MUM

MUM は 2021 年 5 月に発表された最新の AI モデルです。
BERT の 1,000 倍優れているとその革新性を Google は誇っています。

言語を理解するだけではなく作り出すことも BERT はできます。
さらに、75 の言語で複数タスクを同時にトレーニング可能です。
テキストだけではなく画像や音声、動画などのコンテンツを理解することも MUM の特筆すべき特徴です。

RankBrain と Neural matching、BERT とは異なり MUM はまだ開発・運用の初期段階であり検索に本格的には導入されていません
つまり、ランキング決定や検索品質向上には使われていません。
検索で唯一使われている場面は新型コロナワクチン関連のクエリが検索されたときです。
テキストと Google レンズを組み合わせて検索する MUM による機能を今後数か月後にリリースする予定です。

高度な言語理解から世界に関する微妙な情報の理解へのシフトを Google は MUM で目指しています。

📝参考

📝すずきメモ

MUM を使った Things to know 機能が導入されたとこのブログで紹介しました。
しかしながら、本導入ではなくテストだったようです。
その後確認できなくなっていました。
最近また見つけられました。

[climb mt fuji](富士山登山)で出てきた Things to know です。

Things to know

でも今はまた出なくなってしまいました。

いずれにしても MUM を使った Things to know はまだ検索には本導入されていないとのことです。

本当にユーザーのためにコンテンツを作れる状況に近づく

Google が検索に使っている AI について説明してきました。
概要なので、もっと詳しく知りたければ元記事を参照してください。

とはいえ、それぞれの AI モデルがどんなことをやっているかを詳しく知るのはほとんどの人にとっては好奇心を満たすことが目的になるでしょう。

重要なことは、発展著しい AI が検索に次々と使われるようになってきている点です。
各 AI は独立して動いているわけではなく、それぞれが強調しあって動いています。
結果として、クエリの意味、クエリの意図、コンテンツの内容、クエリとコンテンツとの関連性などをさらに適切に Google は判断できるようになっています。

「検索エンジンのためではなくユーザーのためにコンテンツを作るべき」とは言いつつも、SEO に取り組む僕たちとしてはどうしても “SEO に強いライティング” が頭から離れないのが現実ではないでしょうか。
検索エンジンにも理解しやすいコンテンツはやはり有利だからです。

しかし、検索 AI の発展で、検索エンジンのことを考慮せずに本当にユーザーのことだけを考えてコンテンツを作れる時代に着実に近づいていることは確かです。
ユーザーの役にたつための SEO に心底取り組めるのは楽しみですね。