「スカイレール」2023年の廃止検討。広島県の新交通システム

開業25年で

広島市の新交通システム「スカイレール」が、2023年末を以て廃止を検討していることが明らかになりました。中国新聞が報じています。

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広島県の新交通システム

スカイレールは山陽本線瀬野駅に隣接するみどり口からみどり中央までの1.3kmを結ぶ新交通システムです。

中国新聞デジタル2022年11月5日付によりますと、スカイレールを運行するスカイレールサービスは、2023年末を以て運行を終了する方針を決めました。

廃止後は電気自動車を使った路線バスを代替交通として検討しており、スカイレール廃止に先立つ2023年秋にも運行を開始するそうです。

スカイレール

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高低差200mを登る

スカイレールは懸垂式モノレールの一種ですが、鋼桁のレールにぶら下がったゴンドラ車両を、駅間ではワイヤロープで引っ張り、駅構内ではリニアモーターで駆動するという、珍しい交通システムです。

終点のみどり中央付近は、スカイレールタウンみどり坂というニュータウンになっています。ニュータウンは高台にあり、瀬野駅との標高差が200mに及ぶため、急勾配に対応する新交通システムとして、スカイレールを導入しました。軌道の最急勾配は263パーミルに達しており、ケーブルカーを除く鉄軌道では日本一の急勾配とされています。

運行開始は1998年8月。日中は15分間隔、ラッシュ時は最短7~8分間隔となっていて、1日あたり平均約90便、土休日は約70便を運行しています。

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輸送密度1,456人

2019年度の鉄道統計年報によりますと、スカイレールサービスの平均通過数量(輸送密度)は1,456人キロです。数字としては「ローカル線」レベルですが、各地のケーブルカー、ロープウェイと比較すればそれほど低い数字ではありません。ニュータウン交通という点で似た形態の山万の1,092を上回っています。

しかし、年間の軌道旅客収入は5800万円程度で、9900万円の営業赤字を計上しています。営業係数は249と芳しくありません。こうした状況で、開業から20数年を経て、設備更新の時期を迎えていると推測され、大型投資をせずに廃止を検討することになったのでしょうか。

まだ廃止は正式決定ではありません。いろいろな意味で珍しい形態の新交通システムだけに、本当に廃止となれば残念です。(鎌倉淳)

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