ロマネスコに見られるフラクタル構造
ロマネスコに見られるフラクタル構造 / Credit:Depositphotos
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ロマネスコの不思議な形状を作る成長のナゾが明らかに

2021.07.17 Saturday

カリフラワーの一種であるロマネスコは、緑のつぼみがフラクタルになっている野菜です。

フランス国立科学研究センター(CNRS)に所属するフランソワ・パーシー氏ら研究チームは、10年以上の研究の末、ロマネスコがフラクタル構造になるメカニズムを解明しました。

論文によると、ロマネスコのつぼみが一時的に「開花したつもり」になっていることが原因とのこと。

偽りの開花の「記憶」をロマネスコは持ち無限増殖を引き起こしていたのです。

研究の詳細は、7月9日付の科学誌『Science』に掲載されました。

ALIEN-LIKE VEGETABLES HAVE MATHEMATICAL “MEMORY” — STUDY https://www.inverse.com/science/the-truth-about-fractals-in-your-food
Cauliflower fractal forms arise from perturbations of floral gene networks https://science.sciencemag.org/content/373/6551/192

ロマネスコ・カリフラワーは自然界に見られるフラクタル

シェルピンスキーのギャスケット
シェルピンスキーのギャスケット / Credit:Nol Aders(Wikipedia)_シェルピンスキーのギャスケット

フラクタルとは、部分と全体とが同じ形から成り立っている図形のことです。

三角形の中に三角形が無限に作られる「シェルピンスキーのギャスケット」などが有名でしょう。

どれだけ拡大しても延々と同じ画像が無限ループするという不思議な動画も、フラクタルの理論によって作られています。

ネットで出回っている下のようなGIF画像が、その代表例です。

フラクタルを利用した無限ループGIF
フラクタルを利用した無限ループGIF / Credit:GIFER,Vigore

ずっと見ていると目が回ってしまいますが、このフラクタルは自然界にも存在します。

氷の結晶や木の枝などがその例です。

そして植物のフラクタルで最も有名なのが「ロマネスコ」です。

ロマネスコ
ロマネスコ / Credit:Depositphotos

多くの植物は、茎の頂点にはつぼみができ、いずれ花を咲かせます。

ところがロマネスコはつぼみが成長しきる前に、別のつぼみがどんどん生まれてきます。

つぼみの発生が短期間で何度も繰り返されることでフラクタルとなり、複数の円錐形が集まったように見えるのです。

ではどうしてロマネスコだけが、このような異常増殖を繰り返し、フラクタルを形成するのでしょうか?

研究チームはカリフラワーに似た構造をもつ別の植物を遺伝子操作し、強制的にロマネスコのようなフラクタルを生み出すことで、原因となるメカニズムを特定しました。

次ページロマネスコのフラクタルは偽の開花の「記憶」と成長速度が原因だった

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