香港・マレーシアでコンテナリース会社を経営している、ちゃん社長さんによる、「ロックダウンが起きると海運・物流の現場で何が起きるか」を解説した連続ツイート

とても興味深い連続ツイートだったのでまとめました。編集自由にしてあるので、加えた方が良いという思われたツイートがあればお願いします。
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ちゃん社長 @Malaysiachansan

香港・マレーシアでコンテナリース会社を経営。マレーシア在住。主要な取引先は中東(主にサウジ)。世界の港へ出張し、年50回国際線ビジネスクラス搭乗。しかし贅沢を嫌い、田舎で清貧に暮らす変わり者。体型はモデル、頭髪はハゲ。40代前半の超就職氷河期世代。政治的には完全中立。仕事の詳細はnoteをご覧下さい👇

note.com/malaysiachansa…

ちゃん社長 @Malaysiachansan

当方海外(香港・マレーシア)の港湾で会社を経営していますが、今日は「ロックダウンが起きると海運・物流の現場で何が起きるか」という点を書きます。マレーシアでは6/1からロックダウンの再開が発表されています。日本はロックダウンを経験した事が無いので、長文ですが参考になれば幸いです(1/10)

2021-05-29 08:46:52
ちゃん社長 @Malaysiachansan

まずロックダウンになったとしても、輸出入自体が止まる訳ではありません。これは世界中の船会社や港湾が、「どんなにパンデミックが深刻化しても海運は止めない」という共同宣言も出しています。輸出入は世界の血液であり、極端な話、これが止まれば世界中の人々が死んでしまいます(2/10)

2021-05-29 08:46:53
ちゃん社長 @Malaysiachansan

よってロックダウン下でも予定通りに船は世界中の港に到着します。しかしそこから先で問題が発生します。まず港湾は人を減らしてでも動いているので、到着したコンテナを降ろす事はできます。ところがコンテナの受取先の倉庫が閉まっているので、それを届ける事ができません(3/10)

2021-05-29 08:46:53
ちゃん社長 @Malaysiachansan

そうこうしている内に、コンテナヤードのコンテナの数はどんどんと膨れ上がっていきます。本来コンテナは一定期間無料でヤードに保管でき、それを超えると延滞料を取るのですが、受取先も閉まっているので延滞料の請求も難しくなります(4/10)

2021-05-29 08:46:54
ちゃん社長 @Malaysiachansan

そして本当にヤードが満杯になると港湾の機能が完全に止まってしまうので、荷主に掛け合ってコンテナの出庫を相談します。そして荷主は延滞料を払いたくないので受け入れるのですが、仮にコンテナを届けてもそれを降ろす人がいないので、倉庫の前に荷物の入ったコンテナが置きっぱなしになります(5/10)

2021-05-29 08:46:55
ちゃん社長 @Malaysiachansan

しかしそのコンテナというのは荷主の持ち物ではなく、大抵は船社か我々の様なリース会社の持ち物です。実際には次に載せる荷物が既に決まっています。しかしコンテナから荷物を降ろせないので、次の荷物を載せられません(6/10)

2021-05-29 08:46:55
ちゃん社長 @Malaysiachansan

一方船のスケジュールは決まっています。仮に届くはずのコンテナが届かなくても船は待ってくれず、港を出港してしまいます。こうなるとロックダウン中の国にコンテナが積み上がっていきます。そして本来そのコンテナは別の国で使用される予定があった訳ですが、その国の輸出入も滞る事になります(7/10)

2021-05-29 08:46:55
ちゃん社長 @Malaysiachansan

この様にして一つの国でロックダウンが起きると、世界中の物流が混乱する事になる訳です。遠い海外の地で起きたロックダウンであっても、物流は世界中繋がっているので、その影響が世界中に波及してしまいます(8/10)

2021-05-29 08:46:56
ちゃん社長 @Malaysiachansan

それで結論ですが、日本の皆様には荷物の到着が多少遅れたり、商品が品切れになったりした位で怒らないで頂ければ幸いです。海運・物流業界はこのパンデミックの中で、文字通り不眠不休で戦っています。こういった遅延は不可抗力であり、その中で最善を尽くしています(9/10)

2021-05-29 08:46:56
ちゃん社長 @Malaysiachansan

私は海運・物流業界で働く人達は文字通りフロントライナーだと思っています。彼らの働きにより世界中の命が生き長らえていると言っても過言ではありません。そして一日も早くコロナが収束し、安心して毎日を送れるようになる事を心から願っています。長文お付き合い頂きありがとうございました(10/10)

2021-05-29 08:46:57

この一連のツイートへの反応

かいる𝕏【公式】 @erokayru

@Malaysiachansan ちゃん社長頑張ってください。クランのバクテーをまた食べに行きたいです

2021-05-29 08:49:55
M。CCHAN @MocchanMetal

@Malaysiachansan 経済のフロントライナーですね

2021-05-29 08:53:15
デパートのかいじん(team TENGA) @cSix2kEuRrK68rI

@Malaysiachansan ありがとうございます。 コンテナ不足の皺寄せを食らっている物流の人間(陸運)ですが、勉強になりました✨

2021-05-29 09:22:24
マッコー @Q04inxiWQaS9rfd

@Malaysiachansan @muratamika2021 凄く勉強になりました。 お身体に気を付けて、頑張って下さい。

2021-05-29 09:28:15

ちゃん社長さんはnoteも始められたとか

ちゃん社長 @Malaysiachansan

【大切なお知らせ・noteを始めました】 いつもフォロー頂きまして、本当にありがとうございます。この度noteで定期購読のブログを始めました。今日はブログを始めようと思った理由について書きたいと思います。長文になりますが、最後までお付き合い頂ければ幸いです(1/18) note.com/malaysiachansa…

2021-05-12 15:23:57
リンク note(ノート) Container from Malaysia(コンテナ フロム マレーシア) 第1話 ポートクラン(Port Klang)への道のり|ちゃん社長|note (この物語にはフィクションが含まれますが、書かれている内容は筆者の体験に基づいています) 午前7時20分、氷堂 律(ひょうどう りつ)、通称ちゃん社長は玄関から表に出た。マレーシアの日の出は日本に比べて遅く、朝7時30分頃にならないと外は明るくならない。この太陽が昇る前の時間に近くを散歩しながら朝食を取るのが氷堂の日課だ。 氷堂が住む町はジェラム(Jeram)という町で、首都クアラルンプール(Kuala Lumpur)から車で約1時間15分ほどの場所にある。この街は海沿いの街で、周囲に大きな商店などは何も