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みずほ銀行で2021年8月20日、営業店の窓口業務が全面停止するトラブルが発生した。前日の19日午後8時53分ごろに営業店端末と勘定系システムをつなぐサブシステムで、データベース(DB)サーバーがディスク装置の故障をきっかけに停止したためだ。待機系DBサーバーへの切り替えも失敗、副データセンター(DC)に処理を切り替えた。副DCへの切り替えに着手するまで11時間超を要し、業務開始に間に合わなかった。

 みずほ銀行で2021年8月20日、全463店舗で営業店端末や店頭のタブレット端末が使用不能になった。午前9時の開店から午前9時45分までは全ての店頭取引ができなくなり、その後も午前11時58分まで融資や外国為替(外為)の一部取引ができなくなった。営業店端末などと勘定系システム「MINORI」をつなぐサブシステム「業務チャネル統合基盤」が前日の8月19日午後8時53分ごろに停止したためだ。

 業務チャネル統合基盤が停止した影響で、外為の仕向け送金が10件、当日中に完了できなくなるトラブルも発生した。この他にキャッシュカードを紛失した顧客から電話で連絡を受けたものの、営業店端末を使ったカードの紛失登録ができなかった結果、カードが不正利用され、他行のATMから50万円が引き出される事件も発生した。

 みずほ銀行が銀行法に基づく報告徴求命令を受けて金融庁に提出した報告書などによると、システム障害の発端は8月19日午後7時40分、業務チャネル統合基盤のデータベース(DB)サーバーのディスク装置が1台故障したことだった。

 DBサーバーのディスクはミラーリングしてあるので、すぐにミラーディスクに切り替わった。また新しいミラーディスクを作るために、スペアディスクへのデータコピーも始まった。しかし午後8時52分、ミラーディスクも故障してしまう。まだスペアディスクへのデータコピーは完了していなかったため、ディスクからデータを読み出せなくなり、DBサーバーが停止した。

 業務チャネル統合基盤の開発ベンダーは富士通で、データベース管理システム(DBMS)は富士通の「Symfoware Server」だ。ハードウエアは富士通の資産で、運用も含めて富士通がみずほ銀行にサービスとして提供する。

 みずほ銀行はこのDBサーバーを冗長構成にしていた。稼働系から待機系にトランザクションログを常時転送してDBを二重化する仕組みだ。本来であれば稼働系が停止すると、待機系に自動的に切り替わるはずだった。

 しかし今回の障害では、稼働系のディスク故障によって待機系へのログ転送が停止し、待機系のデータの最新性を保証できないとシステムが判断したため、稼働系から待機系への自動切り替えが失敗した。DBサーバーの障害によって業務チャネル統合基盤が全面停止し、営業店端末が使えなくなった。

 みずほ銀行のIT・システム統括第一部は午後10時2分、関係者に障害の一報を発信した。障害ランクは「行外に軽微かつ広範な影響を及ぼす障害。または行内に重大な影響を及ぼす障害」と定義した「A1ランク懸念」とした。