Amazon薬局登場、処方箋デリバリ「PillPack」買収から約2年

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Image Credit : Amazon

ピックアップ:Introducing Amazon Pharmacy: Prescription Medications Delivered
ニュースサマリー:Amazonは先月17日より、オンライン薬局「Amazon Pharmacy」の立ち上げを発表している。これは、オンラインで医薬品の注文が行えるというもので、処方箋の管理・各種保険の登録などもプラットフォーム上でできるのが特徴。また、プライム会員であれば2日以内の無料配送サービスが受けられる。

話題のポイント:Amazonが処方箋デリバリーサービス「PillPack」を7.5億ドルで買収をしてから約2年。米国の処方箋市場は5,000億ドルとも言われていますが、今回本格的にサービス「Amazon Pharmacy」が立ち上がりました。もともとPillPackがターゲットにしていたのは慢性疾患を持つ患者でした。そのため、PillPackは繰り返し毎日同じ薬を服用するユーザーを想定したサービス展開をしていました。アメリカの車社会という特性上、毎週・毎月繰り返し遠方の薬局まで行かなくても定期的に配送されてくるという利点があったのです。

また、薬の飲み忘れが起きないよう、処方箋パッケージデザインには世界的デザイン会社IDEOによるデザイン監修も入っており、患者ファーストのUXを目指しています。

Customers can now purchase prescription medications through Amazon Pharmacy – convenient and reliable access, without leaving home. (Photo: Business Wire)
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Amazonは、自社ECプラットフォームを繰り返し利用してくれる「リピート顧客」層の獲得を常に模索しており、PillPackの元々の顧客層と合致しているため、買収に至った経緯がありました。つまりAmazonは顧客のLTVを最大化させ、キャッシュフローを潤沢にする戦略を採用しているため、1回きりの利用ではなく何度もAmazon Pharmacyを利用するPillPackの既存顧客を真っ先に囲った形です。

オンラインでの診療がパンデミック以降、一般開放され始めており、診察・処方箋から薬局まで自宅を中心とした体験が実現しつつある状況です。特にアメリカのような薬局に行くまでの移動コストが高い国では、元々需要のあった体験であり、Amazonが載りだしたことで一気に景色が変化していく可能性を秘めています。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆

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