【現在は浅草から錦糸町に移転しています】
浅草にできたばかりの、とある専門店へ
こんにちはみやけです。まだまだ暑い日が続きますね。今回は2020年7月にオープンしたばかりの、とある専門店に行ってきました。
同行者は過去にも数回登場している友人K(めちゃくちゃよく食べる) です。
日本で唯一のひやむぎ専門店、「特撰ひやむぎ きわだち」さんです。ひやむぎの専門店なんて聞いたことないですよね? 日本で初めてなんだそう。
まずここで、私のひやむぎに対する認識を整理してみます。
私にとってひやむぎという存在は「うどんとそうめんの間」。そうめんよりは満足感を得たいなって時に茹でて食べたりしています。西日本ではあまり馴染みがなく、食べたことがない・初めて聞いたなんて人も結構な数いるんだとか。
そもそもひやむぎとは
乾麺の規格によると、麺の直径の長さが
- 「うどん」1.7mm〜
- 「ひやむぎ」1.3mm〜1.7mm
- 「そうめん」〜1.3mm
とあります。 (参考:乾めん−KANMEN.com− 全国乾麺協同組合連合会)
構成要素はシンプルに小麦粉・塩・水なので、主に麺の太さで種類が分かれていると思って良さそうです(ちなみに幅が4.5mm以上になると「きしめん」だそうです)。
作り方は
- 生地を延ばして切るのが「うどん」「ひやむぎ」
- 生地を手で細く延ばしていくのが「そうめん」
です。
ひやむぎの食べ方は一般的にそうめんに似ているので、ひやむぎに数本、ピンクや緑の色付きの麺が入っているものを良く見かけるのは、そうめんと区別がつきやすくするためなんだとか。
生麺のひやむぎってどんな感じなんだろう
ひやむぎの定義がわかったところで、そもそも人生でのひやむぎ経験がそんなに無い私。なんとなく中途半端な立ち位置だったので、特別美味しい!と感じたこともありませんでした。
しかも生麺のひやむぎなんて、人生で一度も食べたことがない! 専門店好きな私としては行かない理由がないな、ということで早速お伺いしたのでした。
メインのひやむぎだけでも、これだけの種類があります。シンプルなものから味を想像できないアレンジまで。迷ってしまうやつ……!
おつまみやおかずも充実。「羊」カテゴリがあるのが面白いですね。
ひととおり注文し終えたら、まずは限定樽からビールを一杯。ちなみに昼からお酒が飲めます。
この日のビールは東京クラフトの東京ペールエール。限定樽のビールの種類は、毎回樽ごとに変えているそう。理由は「同じビールが続くと、飽きちゃうんで」とのことです。来るたびにビールが違うと楽しくて良いですね。とってもフルーティで美味しい!
お通しはこちら、なんでしょう、湯葉……? いいえ、ひやむぎのお刺身とのことです。
もっちもちで、香りが良い。甘めのかえし醤油をつけて食べます。わさびともすごく合う。
ひやむぎは、うどんのように製造の段階で生地を延ばすので、こういった形に切り出すことができるんですね。製麺からやるこの店だからこそ食べられる一品です。このあとに来るひやむぎは、一体どんなものなんだ?とわくわくさせてくれる演出です。
おつまみもハズレなく美味しい
ゴボウとニンジンのゴマサラダ。
ラムの和風ローストは、火の通り加減が絶妙で、噛めば噛むほど美味しい。冷たさ・肉の厚さも個人的に大好きな状態でした。添えられたワサビ、柚子胡椒、パクチーも合います。自分で薬味の組み合わせを変えながら、ビールをごくごく飲むのが楽しい!
ラムトマト。これ、すんごく美味しかったです。まずラムがゴロゴロと大きいのに、口に入れるとめちゃくちゃ柔らかい。イタリアンなトマトソースの酸味がラムにこんなに合うとは思わなくて、発見でした。
「きわだち」さんでは揚げたての天ぷらも出してくれるんです。
こちらは天ぷら5種盛り合わせ。砂肝、ナスに水ダコ。ここに鳥なんこつと舞茸の天ぷらを追加して持ってきてくれました。水ダコの天ぷらなんて初めて食べたし、鳥なんこつがぷりっぷりで超好きでした……。これは熱々のうちにぜひ食べていただきたい!
2杯目以降は日本酒を注文。それぞれの個性も説明してくれるので、私のような日本酒初心者でも安心して注文することができます。「お蕎麦屋さんのような感覚で、お酒を楽しんでいただく方が多いです」と店主さん。ビールや日本酒だけでなく、ワインやウイスキーなども揃ってます!
ついにひやむぎをいただく
ついにきました ひやむぎ!! まずはシンプルに、せいろをいただきます。
もう見るからに、私が知っているひやむぎとは違う。この色とツヤ。 一見更科そばのような見た目ですが、どんな味なんだろうか……。
まずはつゆにつけず、このままいただいてみます。
まず感じたのが「なんだこれ。初めて食べる味!」
啜った時に鼻に抜ける小麦の香りが全然違う。この喉越しも初めての体験です。あえて例えるならば、細いのに讃岐うどんのようなもっちりとした歯応え、太いのにそうめんを食べた時のような清涼感……というところでしょうか。
でもやっぱり、うどんともそうめんとも、そばとも違います。これがひやむぎなのか。
つゆは鰹節と昆布をベースにし、椎茸やげそなどが加えられた特製のつゆ。上品な口当たりで、ひやむぎ自体の美味しさをそこなうことなく引き立ててくれます。薬味はネギに柚子胡椒。ぴりっとしたアクセントが楽しいです。
つけとろ。こちらも同じくせいろのひやむぎですが、すり下ろしたとろろと泡立てた卵白をつけつゆにしていただきます。なかに卵が沈んでいるので、かき混ぜながら食べてくださいとのこと。
とろろがずっとふわふわとろっとろ。最後までふわとろが続きます。
ひやむぎに絶妙にとろろが絡んで、口の中で一体になる感覚がたまりません。そんな中でも、シャッキリとしたひやむぎの存在はしっかりと感じられます。食感も美味しさのひとつだな……!と実感する一品。これがうどんやそうめんだったら全然違った味わいになるんだろうな。
このひやむぎは生麺なこともあり、茹で時間が1分20秒とのこと。きわだちのひやむぎは、水分量が45%を維持しているのでさっと茹でられるんだそう。乾麺のひやむぎの茹で時間が大体4分程度です。
ここで温かいひやむぎもひとつ。鴨南蛮も頼みました。
ひやむぎって、温かくしてもこんなに美味しいのか。
私は家でひやむぎをにゅうめんみたく調理することもあるんですが、茹で時間の調整がうまく行かないせいか、冷やで食べる時と違って麺が伸びて食感はぶよぶよになってしまって、その点では残念な仕上がりになることが多いんです。
が、これは温かくしてもしっかりとシャッキリ感が残っていて、スープに浸ることでよりぷりぷりに。それでいて小麦のうまみや、心地よい喉越しは変わりません。鴨の脂がしみ出た透き通ったスープにも合い、するするっと入ります。
石臼挽きの全粒粉が使われている点は、訪れた外国の方も興味津々だそう。全粒粉のパスタはあっても、ひやむぎなんて初めて食べますもんね……。
何度も試作されて納得のいくひやむぎができたという、その丁寧な仕事っぷりも味わいから感じとることができます。
ひやむぎに合わせる日本酒2杯目はこちら。常温と冷酒、それぞれひやむぎに合わせるとまた違った表情を見せてくれて面白い。いやあ、日本酒って美味しいんですね……。子育てでお酒からはしばらく離れてたんですが、これからもっと詳しくなりたいなあと思った夜。
まだいけるよね?いける!ということで、最後にまた、冷たいひやむぎを注文しました。
冷やし梅とろろ昆布 こちらはひやむぎの冷かけです。丸ごとドンと乗っかった梅干しの酸味、とろろ昆布の旨味、キリリと冷えたスープがより麺をシャッキリとさせて、喉越しも最高。
いや〜、全部本当に美味しい。他のひやむぎも食べたい。けど、お腹が限界を迎えたので今回はここまで。 ひやむぎでこんなにバリエーションが楽しめるなんて思っていませんでした。
ひやむぎの知名度をあげたい
「特撰ひやむぎ きわだち」店主の永井さんは、飲食業界以外にも様々な経歴を持ち、自身のnoteなどでも積極的に情報発信をしています。元々実家がお蕎麦屋さんなこともあり、製麺に関する知識や技術は得意分野とのこと。
「本気で作ったひやむぎはうどんやそばに負けない美味しさなので、ぜひ皆さんに食べてもらいたいんです。」
夜のうちにひやむぎを製麺し、お店での調理や接客なども今は全部ご自身でやられています。すごい。
今後は通販も視野にいれているとのことで、自宅であの味が楽しめるとなると嬉しさしかない……!(意外にもひやむぎの生麺は日持ちし、なんと冷凍もできるとのこと!)
「ひやむぎ=夏」のイメージが強いですが、これから寒くなる季節もひやむぎ一本で勝負していくそう。温かいメニューにも強い「きわだち」の生麺が冬にはどんなかたちで登場するのか楽しみですね。今回の料理の完成度を見るに、アレンジにも期待しか持てません。
新メニューやお酒の入荷情報など、じゃんじゃんSNSでも更新されてるので、ぜひチェックしてみてください。
まだまだ暑いので『すだちの冷かけ』を今日から始めました🙌
— 特撰ひやむぎ きわだち (@kiwadachi) 2020年9月5日
関西風のさっぱりした出汁にすだちの香りが程よく香って華やかなひやむぎです🎉
大根おろしもさっぱりしていてお箸が止まりません🤤
無くなり次第終了なので、お早めのご来店をお待ちしています✨#きわだち#ひやむぎ専門店#浅草 pic.twitter.com/Ze4w1ojG9q
紹介したお店(現在は錦糸町に移転しています)
店名:「特撰ひやむぎ きわだち」
住所:東京都台東区浅草3-9-10 キャピタルプラザ浅草106
電話:03-6876-3586
営業時間:11:30~14:00 / 17:30~21:00 (L.O.30分前)
定休日:木曜日
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
著者プロフィール
みやけ
フリーのライター兼イラストレーター。育児のかたわら食べ歩いています。
Twitter :https://twitter.com/a_komotomo
Instagram:https://www.instagram.com/miyahahama/
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