- D.A.デビッドソンのアナリスト、トム・フォルテは11月17日、ブルームバーグに対し、デジタル薬局は米アマゾンにとって「1兆ドル規模のチャンス」になると語った。
- フォルテはアマゾンが現在の成長レベルを維持するためには、このような機会が必要だと付け加えた。
- また、薬品業界への進出は、ホールフーズを買収した食料品市場への参入よりも多くの利益をもたらすだろうと述べた。
- 「食料品は利益率の高いカテゴリーではない。ホールフーズが大幅に利益率を上げるという期待は楽観的すぎると言えるが、薬局の場合はそうではない」
D.A.デビッドソンのアナリスト、トム・フォルテ(Tom Forte)によると、米アマゾン(Amazon)のデジタル薬局「Amazon Pharmacy」は、世界的に見て1兆ドル規模のチャンスとなり、以前の買収案件よりも極めて多くの利益をもたらす可能性があるという。
「私がアマゾンに聞きたいのは『どうしてそんなに時間がかかったのか』だ。アマゾンにとってすばらしいことだと思う」と、フォルテは11月17日(現地時間)にブルームバーグ・サーベイランスに語った。
彼は、時価総額が1.5兆ドルを超え、株価収益率(PER)が184.62、株価が年初来で71%も上昇しているアマゾンのような企業は、その成長を維持するために、このような動きが必要だと付け加えた。
「アマゾンは成長を維持するために、このように巨大で世界的な1兆ドル規模の事業を必要としている」
また、アマゾンの医薬品業界への進出は、ウォール街の一部でそれほど大きな利益をもたらしていないと見られているホールフーズ(Whole Foods)買収以上の利益をもたらすだろう、と述べた。
「食料品は利益率の高いカテゴリーではない。ホールフーズが高い利益を上げるという期待は楽観的すぎると思うが、薬局の場合はそうではない」とフォルテは言う。
彼は「アマゾンは長期的にはEBITDAマージン(EBITDA:利払い前・税引き前・減価償却前利益を売り上げで割ったもの)が20%になる可能性がある」と述べた。
「薬局は10%以上のEBITDAマージンをもたらすだろう」
アマゾンはここ数年、さまざまなヘルスケア分野に参入してきた。2018年にはオンライン薬局のPillPackを買収し、2020年には従業員のための診療所を開設した。アマゾンが処方薬をオンラインで販売するようになった今、ヘルスケア分野への取り組み全体が売り上げを著しく増加させるだろうとフォルテは言う。
アマゾンの医薬品業界進出のニュースを受けて、アマゾンが席巻して業界全体が大きな損失を被るのではないかという懸念が生じ、CVSヘルス、ウォルグリーン(Walgreens)、ライト・エイド(Rite-Aid)といった医薬品関連企業の株価が下落した。そしてフォルテは、民主党政権によるテクノロジー企業に対する新たな反トラスト規制がアマゾンのデジタル薬局に害を及ぼす可能性は低いと述べた。
「反競争的な観点からは、これが消費者にとって有害で、薬局のコストを上昇させることを証明できるとは思えない」
Amazon Pharmacyのプレスリリースによると、アメリカのプライム会員は医療保険を適用しない場合でも、ジェネリック医薬品を最大80%、ブランド医薬品を最大40%割引で購入できるという。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)