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Microsoft、ハイブリッドワークのためのTeams関連新機能とハードウェアを多数発表

» 2021年09月10日 00時01分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 米Microsoftは9月9日(現地時間)、コラボレーションプラットフォーム「Microsoft Teams」の複数の新機能を発表した。コロナ禍対策として自社で培った「ハイブリッドワーク」のノウハウを込めたものだ。

 ハイブリッドワークとは、リモートワーク(自宅などのオフィス以外)とオフィスワークを組み合わせた働き方のこと。

 Microsoftは新型コロナウイルス感染症が広まり始めた2020年3月には従業員向けの働き方ガイダンスを公開し、それ以降もハイブリッドワークに取り組んできた。今年の4月には、9月7日に本社キャンパスを完全再開する予定だったが、同日、新型コロナの不確実性を考慮し米国内事業所の全面再開時期を新たに予測することはせず、公衆衛生上のガイダンスに基づいた安全が確保された時点で再開することとした。

 同社はこの1年、16万人もの従業員をリモートワークにし、約2万5000人をリモートで採用した。同社が従業員に実施したアンケートでは、会社への帰属意識は過去最高の90%だったという。「このデータは、帰属意識を感じるためには物理的に一緒にいる必要がないことを示している」とMicrosoftは説明した。

 このアンケートでは、従業員の73%がリモートワークの継続を望む一方、67%は対面での関わりを望んでいることが分かった。サティア・ナデラCEOはこれを「ハイブリッドパラドックス」と呼ぶ。

 nadella ハイブリッドワークについて語るサティア・ナデラCEO

 Microsoftはこうしたハイブリッドワークパラドックスを改善するための取り組みの一環として、以下のようなTeamsの新機能を提供していく。

 なお、各機能の公開予定は基本的に米国でのものだ。

新しいカテゴリーのインテリジェントカメラ

 Intelligent cameraは、Jabra、PolyなどのOEMと協力して構築したTeams会議用マイク付きカメラ。会議室内の参加者全員と各参加者単体をそれぞれ動画としてストリーミングできる。

 intelligent camera 1 Jabra製インテリジェントカメラ

 AI採用のアクティブスピーカートラッキング機能で、発言中の参加者を検出してズームインしたり、顔認識機能で参加者の氏名をビデオペインに自動的に表示できる。

 intelligent camera 2 ビデオペインに参加者の氏名を自動的に表示

 向こう数カ月以内にOEMに提供され、2022年中にアップデートとして展開する。

モバイル版Teamsのコンパニオンモードの更新

 ミーティングの参加者が手元のスマートフォンのTeamsモバイルアプリからチャットに参加したり、PowerPointをキャストしたり、リアクションしたりしやすくなる。

 companion コンパニオンモードの画面。リアクションは1タップで選べる

 アップデートは数カ月以内に行われる見込み。

Outlookのハイブリッド勤務向け新機能

 勤務スケジュールの詳細をカレンダーに直接入力できるので、同僚は誰がいつどこで勤務するのか把握できる。新しいRSVP(出欠の返事)機能を使えば、会議に直接参加するのかオンラインで参加するのかを指定できる。会議の主催者は、参加者の参加方法から会議室を借りる必要があるかどうか判断できる。

 rsvp Edit RSVPで参加方法を指定する

 この機能は2022年初頭から。

Teams Displayの「hot desking」

 PCやスマートフォンがなくてもTeams会議に参加できる専用ディスプレイ「Teams Display」の新機能「hot desking」で、従業員はディスプレイから会議を予約し、参加できるようになる。会議を終了してサインアウトすれば、個人情報はディスプレイから削除される。

 thinksmart ThinkSmart Viewでのサインイン

 この機能はLenovoの「ThinkSmart View」で年末までに使えるようになる。

リモートプレゼンテーションのための「Cameo」

 「Cameo」はPowerPointのプレゼン画面上にTeamsのカメラのプレゼンターの映像をシームレスに重ねる機能。Teams内のPowerPoint Liveを使ってプレゼンする。

 cameo PowerPointの画面にTeamsカメラの自分の映像を重ねる

 この機能は2022年初頭に提供開始。

発声や話す速度にリアルタイムでアドバイスする「Speaker Coach」

 Teamsの「Speaker Coach」を有効にすると、AIが話者の話す声の大きさや速度についてリアルタイムでアドバイスする。例えば「もっとゆっくり」「他の人が話しているから待って」などと表示される。

 coach Speaker Coachのアドバイス

 この機能は2022年初頭に提供開始。

明るさ調整機能

 カメラの明るさを自動的に調整する「Lightning correction」機能も追加される。Teamsのデバイス設定画面に追加される「Lightning correction」を有効にすることで使える。

 lightning Lightning Correction

 この機能は向こう数カ月中に追加の予定。

AppleのCarPlayとSiriでTeamsに参加

 米Appleの「CarPlay」のホーム画面にTeamsアプリが表示されるようになり、車の運転中でもSiri経由でハンズフリーでミーティングに参加できるようになる。

 carplay CarPlayのホーム画面にTeamsアプリが表示される

 この機能は9月中に利用可能になる予定。

Vivaコネクションのモバイルアプリ

 2月に発表した「Microsoft Viva」は、Microsoftが「従業員体験プラットフォーム」と定義する、従業員同士のつながりやウェルビーイング、知識発見などのためのイントラネットサービスだ。「Vivaコネクション」はVivaを構成する4つのツールの1つ。Teamsを含む社内コミュニケーションツールや社内データにアクセスするためのゲートウェイのような役割を持つ。

 現在デスクトップ用のTeams向けVivaコネクションアプリが使えるが、モバイルアプリが向こう数週間中に公開プレビューとして利用できるようになる。

ボタン1つでTeams会議に参加できるドッキングステーション「Logi Dock」

 「Logi Dock」は、ボタン1つでTeams会議に参加できる米Logitech(日本ではLogicool)製のドッキングステーション。タッチコントロール付きのスピーカーフォンが組み込まれており、ボタンで音声の調整もできる。

 logidock 紫色のライトが付いている黒いスピーカーのようなものが「Logi Dock」

 Logi Dockは、向こう数カ月中に提供の予定。

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