オウンドメディアのSEOシミュレーションが渋い結果となる理由

オウンドメディアは、SEOと切っても切り離せない関係にあるように思います。

「オウンドメディアの流入をどこから確保するのか?」を考えると、すぐにイメージしやすいのがSEOだからです。

実際、「オウンドメディアを始めたい」と相談をいただくことも少なからずあります。

しかしながら、SEOをメインとしたオウンドメディアの流入シミュレーションを立ててみると、「全然流入数が確保できない」という結果になることも少なくありません。

そして、その少ない流入数に広告より低めのコンバージョン率をかけると、さらに渋い結果となってしまいます。

このように、オウンドメディアは始める前のシミュレーションが渋くなりがちという性質がありますが、一方で成功しているオウンドメディアも少なからず存在しているのは事実です。

なぜオウンドメディアのシミュレーションは希望どおりの答えを返してくれないのでしょうか?

今回は「オウンドメディアの流入シミュレーションが渋くなる理由」をテーマに、オウンドメディアが果たす役割を考えてみます。

目次

オウンドメディアの流入シミュレーションが渋くなる理由

新たにオウンドメディアを立ち上げる際、事前に流入シミュレーションを立てることはよくあると思います。投資対効果を見積もるためです。

SEOをメインの集客手段とするなら、どれくらいの流入が見込めるのか? そして、その流入からはどれほどのコンバージョンが見込めるのか?

そして、GoogleのキーワードプランナーやAhrefsなどを使ってキーワードベースでシミュレーションを立ててみると、基本的には想定以上に渋い結果となるはずです。

仮にキーワードの幅を広げて、流入数を確保しても、その流入数を確保するための費用が想像をはるかに超える数値となることも珍しくはないでしょう。

おそらく、このようなシミュレーションの結果からオウンドメディアへの投資決定がなされることはかなり稀で、通常はオウンドメディアのプロジェクトが始まることなくクローズしてしまうはずです。

市場ボリュームが十分に大きい、商材単価が高いために流入数が低くても投資額をまかなえる場合は別ですが、そのような状況はレアケースなのではないかと思います。

では、なぜオウンドメディアの事前シミュレーションは渋くなってしまうのでしょうか?

事前の流入シミュレーションでは、追えない数字が余りにも多い

「SEOをメインの集客手段とするなら」と触れましたが、オウンドメディアの流入シミュレーションは通常SEOを主軸として行われるはずです。

SEOは知名度も高く、キーワードの検索ボリューム(月間検索数)でおおよその数値が測れるため、シミュレーションの元データとして使用しやすいからです。

一方で、実際のオウンドメディアの流入データを見てみると、事前に想定していなかった流入が思った以上に多いことがわかります。

例えば、思いもよらないキーワードからの流入が多かったり、SNSで意外と反響があったりと、予測不可能な事実が次々と出てきます。

SEOは流入のシミュレーションを立てる上では、データとして非常に使いやすいのですが、裏を返すとデータが使いやすいからこそ、そのデータありきで判断してしまうケースが生まれてしまうのです。

投資対効果を測る上で事前シミュレーションは重要ですが、事前に追えないデータが多いことを念頭に置いておく必要があります。

オウンドメディアに一つの役割だけを持たせることは難しい

また、オウンドメディアは「直接何に貢献しているかが測りにくい」のが特徴です。

仮にGoogleアナリティクスでコンバージョン設定を行っても、意外とコンバージョンに繋がらず、「やはり投資対効果に見合ってないのではないか」という疑念が生まれます。

しかしながら、オウンドメディアが「すぐコンバージョン」に貢献しているケースは少なく、どちらかというとコンバージョンや企業活動を間接的にアシストしているケースの方が多いです。

実際に、採用面談の際に「ブログ読んでます!」という声をいただいたり、商談時に「日頃からよく参考にしています」という声をいただいたりすることも少なくありません。

オウンドメディアの流入見込みをSEOだけで立てつつ、その特徴である「間接的なアシスト機能」を無視すると、オウンドメディアの機能を測り違えてしまうのではないでしょうか。

複数の役割を期待し、持ってもらう

オウンドメディアはお問い合わせの獲得にも役立ちますが、それ以上に複数の役割を持つことができます。

  • コンバージョンへの貢献
  • 受注率への貢献
  • 採用活動への貢献
  • メンバーの意思疎通への貢献
  • メンバーのアウトプット力の向上 など

もし、オウンドメディアに一つだけの役割を期待し、持たせるのであれば、それは過大投資となるかもしれません。

オウンドメディアが企業活動に与える影響範囲は幅広く、その範囲はコントロール不能であるからです。

一方で、複数の役割を持たせる前提で運用するのであれば、あえてその影響範囲をコントロールすることもなく、大きな役割を果たしてくれることでしょう。

オウンドメディアは成果が出るまでの期間が本当に長い

ここまで「オウンドメディアは影響する範囲は想像以上に広い」という内容を書いてきました。

しかし、オウンドメディアは成果が出るまでの時間が本当に長く、立ち上げては続かずに更新が止まってしまうケースが多いです。

これはひとえに「成果を出ることを期待されすぎているから」ではないかと思います。

オウンドメディアの成功事例を見かけることがよくありますが、成功したオウンドメディアは成果の創出が目的にあったわけではなく、「文化が成熟して結果として成果をもたらした」というケースが多い印象です。

例えば、私が直接お力添えさせていただいているクライアントでは、「もともとブログでアウトプットするという前提があって、それが軌道に乗ったからアクセルを踏んだ」というお話がありました。

不思議なことですが、オウンドメディアは成果への意識が強いほどうまく行かず、習慣や文化としての側面が強いほどうまくいくケースがほとんどであるように思います。

成果が出るまでは、文化として育てるのが良いのではないか

オウンドメディアはその投資対効果が読みづらく、半年や1年、あるいは2年でも本当に回収できるかどうかが読めないことがよくあります。

しかし、オウンドメディアを通じて情報発信をすることは、必ず企業活動へポジティブな影響を与えると私は考えています。

「オウンドメディアがもたらす効果に期待したい。でも計算すると投資対効果に見合わない」、このジレンマを解消する良い方法はないのでしょうか?

おそらく良い方法が一つありまして、それは「オウンドメディアを文化として育てること」です。

「アウトプットの習慣」を文化とする

オウンドメディアの良い点は、メンバーのアウトプットに価値が生まれることです。

作ったコンテンツがコンバージョンをもたらすこともありますし、商談や採用活動に良い影響を与えることもあります。また、それだけではなく、アウトプットがメンバー間の意思疎通に繋がることもあります。

もちろん早めにコンバージョンに近い成果が出るに越したことはありませんが、その過程で得られるものも多く、文化として定着させるだけの価値があるように思います。

ネックとして、アウトプットし続けることが辛いという側面はありますが、それは言い出した人が気合いで続けていく他ないでしょう(かくいう私も何度も挫折しています)。

さいごに

「オウンドメディアのSEOシミュレーションが渋い」から、「オウンドメディアは文化として始めよう」という話まで遷移しましたが、オウンドメディアをSEOだけで測るとその可能性を見誤ってしまうことがあると思います。

SEOは確かに強力な集客チャネルですが、事前に追えるデータは少ない上、流入はSEOだけに限ったものではありません。

むしろ「SEOだけ」と役割を狭めてしまうと、本来持てる可能性をも狭めてしまうことになるでしょう。

というわけで、半ば自分自身に向けた内容でもありましたが、何か通じるものがありましたら幸いです。

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この記事を書いた人

アイオイクスのチーフコンサルタント。税務署→Web制作会社→アイオイクスという経歴です。個人ブログで300記事以上を執筆し、SEOの独学を経てコンサルタントになりました。北海道の函館生まれ、札幌育ち。

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