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Googleの「E-A-T」を測定したいって!? そもそもE-A-Tって何だっけ? (前編)

グーグルが検索品質評価ガイドラインに記載する「E-A-T」の役割を改めて確認しよう。そして「E」を実証する方法を紹介する。
この記事の内容はすべて筆者自身の見解であり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、Mozの見解を反映しているとは限らない。

検索結果で1位を獲得するには、ブランドの専門性に対するユーザーの信頼度が重要な要素だが、グーグルは「E-A-T」(専門性・権威性・信頼性)の実体や、それがSERPにおける順位にどう影響するかを曖昧なままにしている。

今回のホワイトボード・フライデーでは、非常に重要な要素である「E」、つまり「専門性」を実証できる方法についてリリー・レイ氏が説明する。

前編では、次のことを解説する:

  • そもそもE-A-Tとは何なのか
  • E-A-Tは測定できるのか?
  • 専門性(Expertise)に関するグーグルの特許

E-A-Tとは?
・Expertise(専門性)
・Authoritativeness(権威性)
・Trustworthiness(信頼性)
YouTube / Googleニュース+Discover / 商品レビューに関するアップデート / コアアップデート / SEOの学習 /
QRG
●専門家
・直接経験したこと
・独自の研究結果
・他の人がリンクを張る
・ニッチな分野に注力
・執筆者の経歴
・専門家による精査
・ブランドSERP
☓検索順位を直接決定する要因
○PageRank
○リンク
特許→専門家→エンティティ
エンティティとしてのジョー・スミス:
 出身地
 年齢
 キャリア
 夫人
 受賞歴
 スキル
→EAT

こんにちは、私はリリー・レイ。今回は、E-A-T(専門性・権威性・信頼性)を取り上げる。特にEの要素である「専門性」に焦点を当てる。

※Web担編注 グーグルは「E-A-T」に「Experience(経験・体験)」を加えた「E-E-A-T」という概念を2022年12月の検索品質評価ガイドライン更新で打ち出している。

E-A-Tとは

まずは基本的なところから。E-A-Tとは、次の3つの頭文字を取ったものだ:

  • Expertise(専門性)
  • Authoritativeness(権威性)
  • Trustworthiness(信頼性)

これはグーグルの検索品質評価ガイドラインにも、そのまま書かれている。グーグルは、このガイドラインを使って検索品質評価者(人間)を訓練し、毎年膨大な数のテストを実施して、ユーザーの期待に応えるという観点から、基本的には検索品質のベンチマークに照らして評価している。

ガイドライン全体を通してグーグルは「E-A-T」を「優れた品質のコンテンツ」とほぼ同義で使用しており、優れた「専門性」「権威性」「信頼性」を示すという観点から、コンテンツ制作者やサイトがユーザーの期待にどれほど応えているかを評価者が説明できるようにすることを求めている

グーグルは、SEOの学習に関連するドキュメントも作成している。Google検索セントラルにアクセスすると、SEOの学び方に関するドキュメントがまとめられている。そしてそこでは「多くの優れた専門知識を有するコンテンツを提供するべきだ」と明示している。

コアアップデートに関するドキュメントのなかには「コアアップデートについてサイト所有者が知っておくべきこと」という記事がある。グーグルは年に数回、新しいコアアップデートをリリースするたびにこの記事を公開しており、検索品質評価ガイドライン(QRG)、特にE-A-Tについてよく確認しておくよう求めている

またグーグルはYouTubeも傘下に置いている。YouTubeは、特に動画の検索結果でいかに高品質の情報を上位に表示させているかについて、独自のドキュメントを用意している。そのなかに、YouTubeでの誤情報対策に特化して説明しているセクションがあり、そのセクションでは、「YouTubeの検索順位における権威性の大切さ」について詳しく取り上げている

GoogleニュースやGoogle Discoverに関するドキュメントのなかでもE-A-Tの重要性について述べている。グーグルは「検索順位で上位に表示されるようにしたければ、コンテンツ全体を通して優れたE-A-Tを示す取り組みが重要である」ことを、いろいろなところで説明している。

商品レビューに関するアップデート

「商品レビューに関するアップデート」は、グーグルがここ最近に開始した一連の新たなアップデートだ。

※Web担編注 「商品レビューに関するアップデート」は、グーグルが2021年4月に導入し、その後も何度かに分けて内容を強化していっているアルゴリズム更新で、高品質な商品レビューをより高く評価する(日本語向けには未導入)。

グーグルはこれらのアップデートで次のようなコンテンツが、かなり上位に表示されるようにするには、専門家レベルのコンテンツが期待されると述べている:

  • ECサイト上での商品レビュー
  • メディアやレビューサイトでの商品レビュー記事

基本的に、「対象の商品について詳しい専門家や愛好家などによるレビュー」は、「実際に試していない商品や少ししか使っていない商品をレビューしているにすぎないと思われる人のレビュー」よりも、やや上位に表示されるという。

E-A-Tは測定可能か

SEO業界では、E-A-Tを測定する方法を多くの人が知りたがっている。というのも、グーグルはE-A-Tの実体やその測定方法についてかなり曖昧にしがちだからだ。

しかし結論から言うと、E-A-Tは測定できる指標ではない。E-A-Tに関しては次のことを理解することが非常に重要だ:

  • E-A-Tは検索順位を直接決定する要因ではない

  • 明確に測定できる指標(たとえば「ページの読み込み速度」や「コアウェブバイタル」など)とは異なり、「E-A-Tのスコア」というものは存在しない

  • つまり、自分のE-A-Tがどれほど優れているか、100点満点で何点かを知る術はない

グーグルがE-A-Tに役立つ検索順位決定要因として明確にしているのは、次の2つだけだ:

  • PageRank
  • リンク

とはいえ、E-A-Tがアルゴリズムに対して間接的に作用する方法はたくさんあり、グーグルによるさまざまな発言をつなぎ合わせると、アルゴリズムにおいてE-A-Tが果たす役割が見えてくる。

専門性に関するグーグルの特許

グーグルのさまざまな特許について、私はこれまで特許の専門家であるビル・スラフスキー氏とともに調査してきた(スラフスキー氏は惜しくも2022年に亡くなった)。

基本的に、検索結果で権威性が果たし得る役割について説明している特許にはさまざまなものがある:

  • たとえばグーグルは2007年、「特定のコンテンツの著者が誰であるかを把握し、その著者の権威性に応じて、そのコンテンツの検索順位を決められるようにする」特許を出願した。

  • もっと最近では、グーグルが2018年に出願したもので、Website Representation Vectors(ウェブサイト表現ベクトル)という特許がある。グーグルはこの特許によって、特定のコンテンツにどれほど権威があるか、あるいはブランドにどれほど権威があるかを把握し、それに応じてそのコンテンツの検索順位を決定できるとしている。

  • グーグルはさらに、文体または話し方やアクセントによって著者や専門家を識別できる特許もいくつか保有している。

グーグルはこのように、あらゆる人物について把握し、その人が信頼されている分野や専門性を発揮している分野を理解するために、多くの取り組みを行っている。その結果、さまざまな製品をまたいで、またSEOの分野で長年にわたって取り組みを続けており、執筆者が誰で、その人物がなぜ信頼できるか、なぜ信頼されているかを理解することに尽力している

これにはさまざまな例があり、たとえば次の2つの特許出願は2007年頃にさかのぼる:

  • Author Rank(オーサーランク)
  • Agent Rank(エージェントランク)

これはグーグルにとって非常に大きなプロジェクトだった。その後「rel="author"」(著者情報)パラメータを導入した。このように、検索結果でさまざまな執筆者を識別し、その権威性に応じてコンテンツの検索順位を決定する仕組みを、さまざまな手法で実現してきた。

しかし、その行き着くところはSEOにおける専門家の役割だ。グーグルの真の狙いはここにあると思う。

グーグルは、次のようなことを理解しようと努めている:

  • 執筆者が誰で
  • なぜ信頼できるのか
  • 専門分野は何か
  • 真の専門性を発揮しているテーマは何か

商品レビューに関するアップデートは、グーグルによる比較的新しいアップデートだが、これは、

  • 特定の分野で真の専門家(SME)は誰か

  • 実際に商品のレビューに多くの時間を費やしたからこそできる調査を誰が実際にまとめてきたか

を、アルゴリズムの面から理解しようとするアップデートだと私は考えている。

グーグルは、さまざまなアルゴリズムにこうしたアプローチを取り入れていると思う。これらのアルゴリズムを使ってグーグルは、次のようなことをを理解しようとしている:

 

  • 実際に調査してきた専門家は誰か

  • その分野で経験があり、こうした取り組みをたくさんしてきた専門家は誰か

SEOの世界では、「キーワード調査」や「すでに検索結果に表示されているコンテンツの調査」をしたうえで、そろって同じようなコンテンツを作ろうとするSEO担当者やコンテンツマーケターがいる。しかし、ここでいう「専門家」とは、こうした人たちのことではない

実際、グーグルが保有している別の特許では、次のようなことを示している:

同じトピックを取り上げているコンテンツがたくさん見つかった場合、基本的にはそのコンテンツの順位を引き上げる(何か新しいものが含まれるコンテンツが1つでもあれば、新しい話題を提供しているという理由で)。

この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。後編となる次回も引き続き、エンティティと専門家の関与について詳しく説明する。

→後編を読む

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